ご飯が冷めても美味しい秋田・大館曲げわっぱ、伝統技法の魅力と樺綴じ模様の登録商標

  • 2026年10月14日
【#商標】 【#地域団体商標】 【#知的財産】

職場に弁当を持参しています。傷んできたプラスチック製の弁当箱の買い替えにあたり、数年前の秋田旅行の際、憧れだった「曲げわっぱ」を熟慮断行の末に購入し、今も愛用しています。

秋田・大館曲げわっぱ

曲げわっぱとは、スギやヒノキなどの薄い板を、熱湯などで柔らかくして曲線に曲げて作られる、日本伝統の木製容器(曲げ物)です。主な産地には、長野県の木曽地域、福島県檜枝岐村、福岡県福岡市などがあり、地域によっては「めんぱ」と呼ばれることもあります。

私が使っているのは、秋田県大館市にある、柴田慶信商店さんの「大館曲げわっぱ」で、無塗装の「白木仕上げ」のもの。漆塗りやウレタン塗装を施して、油ものや洗剤が使えて扱いやすいものもありますが、無塗装のものは、わっぱが持つ調湿性によりご飯がべたつかず、冷めても美味しいと感じます。杉による天然の抗菌作用や軽量性も特徴で、美しい柾目(まさめ)を最大限に楽しめます。
この「大館曲げわっぱ」は、地域団体商標に登録されており、地域ブランドとして保護されています。
商標登録第5591586号 大館曲げわっぱ(おおだてまげわっぱ) | 経済産業省 特許庁

曲げわっぱ全体のデザインはとても美しく、伝統的な弁当箱だけでなく、金魚鉢やシャンパンクーラーなどの新たな展開も生まれていますが、曲げの合わせ目を、山桜の皮で縫い留める伝統技法「樺綴じ」部分にも、多くの模様が存在します。
その中でも、「子持ち縫い」、「鱗綴じ」、「両鱗綴じ」の3種類は、古い曲げ物に学んだ柴田慶信氏が考案し、現在まで受け継がれてきた樺綴じ模様であり、2023年に商標登録されています。
樺綴じについて | 柴田慶信商店 大館曲げわっぱ

樺綴じは、現代では縫い留めの目的より、装飾的な意味合いが強くなっていて、曲げわっぱの表情を形づくる意匠としても魅力的です。職人さんの手仕事が生み出す樺綴じの美しい模様を眺めることも、曲げわっぱを使う楽しみの一つです。その美しさが商標としても保護されていることは、伝統工芸における知的財産の重要性を改めて感じさせます。(シスぞう)
柴田慶信商店|わっぱビルヂング