先行技術調査・侵害予防調査は『悪魔の証明』

  • 2025年02月26日
#特許

 新しい発明をして特許出願しようと思ったとき、審査で新規性・進歩性の拒絶理由が通知されるリスクを減らすため、過去に似た発明が公開されていないか、出願前に調査することが推奨されます。しかし、特殊な技術分野を除けば、日本国内だけに限っても、過去に公開された文献は膨大にあります。その中から、拒絶理由の引例となり得る先行技術文献が「ない」ことを探すことは大変困難です。似た文献が「ある」ことを探す場合は一つ見つければよいのですが、「ない」ことを探すのには終わりがありません。いわゆる「悪魔の証明」です。

悪魔

 先行技術調査を100%漏れなく行い、特許取得が100%可能であるとの確証を得ることは不可能です。しかし、特許出願を審査する審査官にとっても「悪魔の証明」であることは同じです。したがって、まず審査官が見つけそうな範囲を調査することが基本と考えられます。J-Platpatを検索して拒絶理由の引例となり得る先行技術文献がすぐに見つかれば、出願方針を変更した方がよいでしょう。ある検索条件の範囲で調査しても先行技術文献が見つからなければ、出願して特許取得にチャレンジしてみるのもよいと思います。

パソコンを見てがっかり

 自社が製造販売を予定している製品等が他社の特許権等を侵害するおそれがないか判断する侵害予防調査も「悪魔の証明」です。製造販売する国が日本のみの場合、侵害予防調査の対象範囲は、現存する有効な特許公報、及び、現在審査中で将来特許になる可能性のある特許公開公報に絞られます。ただし、実施予定製品の一部の特徴が技術的範囲に含まれる文献も見落とさないように注意する必要があります。
 特許調査のご要望がありましたら弊所にお問い合わせください。(コナン)

名古屋土産

  • 2025年02月21日
#商標

先日、知り合いの劇団が地元で公演することになり、本番が近づきメンバー全員が地元に集合するタイミングで何か差し入れをしたいなと思い、悩んだ末、名古屋土産のお菓子にしました。
関西在住のメンバーが多いので、見た目も楽しめる名古屋土産は喜んでいただけるかなと思い、名古屋駅構内の売店に行ってみたところ、目移りするほどの土産菓子が並んでいて、見ているだけでも楽しめます。
個包装で日持ちがして常温保存でき、あまり手を汚さず食べられるものがよいと思い、こちらの3種類をチョイスしました。

名古屋土産

なごや嬢、鯱サブレー、三大武将おかきです。

なごや嬢(ロゴ)三大武将おかき(標準文字)は登録商標です。
鯱サブレーはパッケージまるごと商標出願されていて、2月5日現在で登録査定が通知されています。(商願2024-067295
鯱サブレーは、30類「サブレー」で出願していましたが、拒絶理由通知がなされ、「愛知県名古屋市で製造又は販売されるサブレー」と補正することで登録査定となっています。

ちなみに、鯱サブレーの製造会社の元祖鯱もなか本店の「元祖 鯱もなか」は、2022年に藤井聡太七冠の「勝負おやつ」に選ばれています。
地元の土産品はなかなか食べる機会がありませんが、差し入れや手土産にするための味見という名目でまた食べてみたいなと思います♪(カカオ)

ChatGPTを使ってみた!~ChatGPTは特許業務に使える?~

  • 2025年02月14日
#特許

ChatGPT

 こんにちは、ヒロです。
 近年、AI技術の進化が目覚ましく、ChatGPT等の生成AIを特許調査に利用したり、明細書作成の補助ツールとして用いたりと、特許業界でもその活用が進んでいます。
 先日、拒絶理由対応におけるChatGPTの活用法に関するセミナー(体験型ワークショップ)に参加しました。そのセミナーの演習では、ChatGPTは一見適切そうに見える補正案や主張案を提示してくれました。しかし、本当にそれが適切か、法的に問題ないかなど、最終的には弁理士等の専門家が確認・判断し、誤りがある場合には修正する必要があるため、現時点ではChatGPTを利用して拒絶理由対応業務の効率化を図るのは容易ではない(やや難しい)との印象を持ちました。一方、ChatGPTは長文の文書でも短時間で要約・説明するのが得意です。この能力は人間よりも遥かに優れており、多数の特許文献の内容を短時間で理解する必要があるとき等は便利に利用できると思いました。

特許第6691280号の内容をイメージしたシンプルなイラスト

 セミナー後、色々な特許文献(特許公報PDF)をChatGPTに読み込ませ、その内容を説明してもらいました。
 以下は、特許庁職員による発明(「管理システム及び管理方法」)についての特許文献(特許第6691280号:特許権者「特許庁長官」)の内容を、小学生でも理解できるようにChatGPT(4o)に説明してもらったときの対話例(入力プロンプトとChatGPTの回答例)です。

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■入力プロンプト:
JPB006691280.pdf (←添付)
添付した特許文献の内容を小学生でも理解できるように分かり易く説明してください。

■ChatGPTの回答:
この特許文献(JP 6691280 B1)は、世界中の特許情報を効率的に管理し、検索しやすくするシステムに関するものです。小学生にも分かりやすく説明すると、以下のようになります。

1. どんな問題を解決するの?
世界中でたくさんの発明が特許として登録されます。でも、国ごとに特許の書き方やデータの形式が違うので、これらをまとめて管理するのがとても大変です。
例えば、図書館に行ったとき、日本語の本と英語の本がバラバラに置かれていると探しにくいですよね? もし、全部の本が同じルールで整理されていたら、本を見つけやすくなるはずです。
この発明は、特許情報を整理して、簡単に検索できるようにする仕組みを作るものです。

2. どうやって解決するの?
このシステムでは、次のようなことをします。
1. 世界中の特許情報を集める
→ 各国の特許データを自動で集めます。
2. データを整理する
→ 特許ごとに番号をつけたり、書き方の違う情報を共通の形式に変換します。
3. 翻訳する
→ 外国語の特許でも、自動翻訳して同じ言語で見られるようにします。
4. AIを使って分類する
→ 「この特許は自動車に関するもの」「この特許はコンピュータに関するもの」など、発明の種類ごとに分類します。
5. データベースに保存する
→ こうして整理された特許情報を、検索できるようにデータベースに登録します。

3. これを使うとどうなるの?
このシステムがあると、特許の検索や管理がとても簡単になります。
• 特許庁の人が過去の発明をすぐに調べられる
• 企業が新しい発明をするとき、似た特許がないかすぐにチェックできる
• 研究者が最新の発明を調べやすくなる
つまり、「たくさんの発明を、すばやく調べられる魔法の図書館」を作るようなイメージです。

この発明のおかげで、世界中の発明が整理され、より便利に使えるようになるんですね!
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 いかがでしょうか?添付ファイル(特許公報PDF)の読み込みに数秒要した後、上の文章がスラスラと流れるように表示されました。箇条書きや太字の装飾を用いて、簡潔に分かりやすく説明されています。
 もっと分かり易く説明してもらった場合はどうでしょうか?

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■入力プロンプト:
次は、幼児でも理解できるようにもっと分かり易く説明してください。

■ChatGPTの回答:
すごい発明の図書館!📚✨
みんな、おもちゃ箱の中にいろんなおもちゃがぐちゃぐちゃになっていたら、遊びたいおもちゃを探すのが大変だよね?😵💦
もし、おもちゃを種類ごとにキレイに並べて、どこに何があるかすぐに分かるようにしたら、もっと楽しく遊べるよね!🎉
この発明は、特許(とっきょ)っていう「新しいアイデアのノート」をキレイに整理して、すぐに見つけられるようにするシステムなんだよ!🌟

どうやってお片付けするの?🤔
1️⃣ いっぱい集める!
 世界中の特許のノートをたくさん集めるよ!📖🌍
2️⃣ 同じ形にそろえる!
 ノートの書き方がバラバラだから、ぜんぶ同じルールでそろえるよ!📚✨
3️⃣ 翻訳(ほんやく)する!
 外国語のノートも、日本語にして読めるようにするよ!🌎➡️🗾
4️⃣ グループ分けする!
 「車のアイデア🚗」「ロボットのアイデア🤖」みたいに、同じ種類ごとに並べるよ!📂
5️⃣ 検索できるようにする!
 「このアイデア見せて~!」って言ったら、すぐに見つかるようにするよ!🔍

これがあるとどうなるの?😃
✨ 特許を調べるお仕事の人がラクになる!
✨ 会社の人が「このアイデア新しいかな?」ってすぐに調べられる!
✨ 研究している人が「こんな発明あったんだ!」って見つけやすい!
つまり、おもちゃ箱をキレイにして、すぐに遊びたいおもちゃを見つけられるみたいに、発明のノートをキレイに整理して、すぐに探せるようにするお助けシステムなんだよ!🎊✨
すごいね~!😊💡
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 確かに小さな子供でも理解できそうなくらい分かり易くなっています。例えも子供向けだし、文脈に合った絵文字まで使われています。最後にはChatGPTの感想(「すごいね~!😊💡」)まで付いています。誤字脱字も無く、子供目線の分かりやすい文章で、私には、人間が書いた文章にしか見えません。

 まだまだ進化を続ける生成AI。今後も業務での活用法を検討していく予定です。

 なお、この記事の2つのイラストは、ChatGPT(4o)に生成してもらったもので、「ChatGPTをイメージしたシンプルなイラスト」と、「特許公報(特許第6691280号)の内容をイメージしたシンプルなイラスト」です。

生せんべい

  • 2025年02月05日
#商標

 先日、愛知県半田市を訪れる機会があり、道中に「生せんべい」という看板を見つけました。『せんべいなのに生?焼く前のせんべいなのか、中身がやわらかく生っぽいせんべいなのか』と、想像が膨らみました。土産店で発見して購入してみると、見た目が予想外に四角で白と黒の薄い羊羹のようでした。

生せんべい

 食べてみるともっちりとして食べ応えがあり、白は砂糖と蜂蜜のほのかな甘みが広がり、黒は黒糖と蜂蜜でこうばしい風味がして、子供も喜ぶ懐かしい味のお菓子でした。名古屋で良く見かける「ういろう」に似ているように思いました。

 調べてみると、愛知県知多半島の特産銘菓で、お餅のようにもちもちとした歯ざわりで、黒砂糖と蜂蜜のほのかな甘みが口に広がる風味豊かな半生菓子だそうです。
 「生せんべい」の由来につながる話として販売元によると、『徳川家康が桶狭間の戦いで今川義元に加勢した際、知多半島へ逃れる途中に半田市にたどり着き、百姓家に干してある生のせんべいを所望し、美味しそうに頬張った。』という物語があるようです。

 生せんべいの包装の上部についているマークが昭和32(1957)年10月12日に商標出願されていて、今でも権利が続いています(商標登録第523200号)。

生せんべい

 歴史のある良い商品なので、半田市を訪れた際に試してみてはいかがでしょうか。(カモミール)
知多銘菓 生せんべい | 総本家田中屋