夏の楽しみと知的財産

  • 2026年08月18日
#意匠】 【#特許】 【#知的財産

 毎年夏になると、花火大会へ出かけるのが楽しみの一つです。今年は2つの花火大会を訪れ、夜空を彩る大輪の花火を堪能しました。写真のような色鮮やかな花火に加え、ハートや花の形の創作花火も打ち上げられ、会場は大いに盛り上がっていました。

花火

花火

花火

 花火を眺めていると、職業柄、つい知的財産との関係が気になります。そこで思い出したのが、「空に広がる打ち上げ花火は意匠登録できない」という論点です。これは平成22年の弁理士試験(短答式試験)でも出題されたことがあり、ご存じの方も多いかもしれません。

 意匠法は、物品、建築物または画像のデザインを保護する制度です。しかし、夜空に一瞬だけ現れて消えてしまう打ち上げ花火そのものは、一定の形状を有しない無体物であり、意匠法の保護対象である「物品」には該当しません。そのため、どれほど美しく、新規で独創的な花火であっても、空中に広がる花火そのものを意匠登録することはできません。

 一方で、花火玉(登録例:打上花火飛翔体外皮)や発射装置など、形状を有する物品(製品)であれば、意匠登録の対象となる可能性があります。また、花火玉や発射装置の構造、打ち上げ方法などに技術的な工夫があれば、特許として保護される可能性もあります。

 何気なく見上げる花火ですが、その美しさの裏には高度な技術と工夫があります。来年も花火大会を楽しみながら、知財の視点でも花火を眺めてみたいと思います(ヒロ)。

『IPランドスケープ』とは?守りの知財から攻めの知財へ

  • 2026年08月12日
#商標】 【#特許】 【#知的財産

「IPランドスケープ」という言葉をご存じでしょうか? 簡単に言うと、「知財(IP)情報を分析し、企業の経営や事業の次の一手を決めるための手法」のことです。
実は日本企業の特許出願数は、今でも世界トップクラスを誇ります。しかし残念ながら、AIや半導体、量子技術といった「政府が指定する戦略17分野(今後高い成長が見込める重点分野)」においては、中国や米国などの諸外国に一歩遅れをとっているのが現状です。
そこで今、国を挙げても推進されているのが「IPランドスケープ」です。

これまでの知財活動は、自社の技術を守るための「守りの知財」が主流でした。しかしこれからは、競合の動きや市場の隙間(空白領域)を分析し、自らビジネスを仕掛けていく「攻めの知財」へと変革していく必要があります。
とはいえ、「自社だけで取り組むのはハードルが高い……」と感じる方も多いかもしれません。 実は、公的機関であるINPIT(工業所有権情報・研修館)では、公募型の「IPランドスケープ支援事業」を行っています。専門家の力を借りながら実践できる心強い制度ですので、まずはこうした支援策の活用から検討してみてはいかがでしょうか。(カモミール)
※「IPランドスケープ」は登録商標です。

「経営戦略に資するIPランドスケープ実践ガイドブック」について | 経済産業省 特許庁
[INPIT]IPランドスケープ支援事業 | 独立行政法人 工業所有権情報・研修館

富士山は一瞬 ~新幹線の車窓に学ぶ、知財の初動~

  • 2026年02月25日
#商標】 【#意匠】 【#特許】 【#知的財産

 こんにちは、ヒロです。
 先日、東京出張へ向かう新幹線の車窓から富士山を撮りました。見える時間は意外と短く、流れる建物の切れ目を逃さないように、「ここだ」と思った瞬間にシャッターを切る。ほんの一瞬の差で、写る景色も印象も大きく変わります。

富士山

 知財の世界でも、この「初動」が結果を左右します。新商品や新サービスは、公開した瞬間から模倣リスクが一気に高まります。同時に、後から取り得る保護の選択肢(=“守れる範囲”)が狭まることがあります。
 たとえば技術(特許)やデザイン(意匠)は、新規性の観点から「いつ公表したか」が重要です。ネーミング(商標)も、原則として早く動いた方が有利になりやすい分野です。SNSでの予告投稿、ECでの先行掲載、展示会での“チラ見せ”――その一歩が、後からの出願や交渉を難しくしてしまうことがあります。
 実際、「発売前にインスタで反応を見ていたら、翌月には似た商品が出ていた」という話は珍しくありません。公表後でも救済制度(いわゆる例外規定)が用意されている分野(特許・意匠)もありますが、要件や期限があり、万能ではありません。だからこそ、公開前に出願の検討・準備を進めることが、費用対効果の高いリスク管理になります。

 車窓の富士山は一瞬で過ぎ去りますが、事業(アイデア、デザイン、ネーミング)の「公開」はネット上に残り、公衆の目に触れ続けます。思いついたら、まず“守る段取り”を。早めに動けば、権利の取り方や公開の進め方を“設計”できます。
 知財に関するご相談(特許・意匠・商標の初動確認など)は、弊所お問い合わせフォームよりお気軽にどうぞ。

知財フェス2025

  • 2025年09月23日
#弁理士】 【#知的財産】 【#知財イベント

 日本弁理士会東海会では、2025年10月4日(土)に中部電力MIRAI TOWER(名古屋市栄)にて「知財フェス2025」を開催します。このイベントは、一般市民の方に向けて、知的財産の理解、弁理士に対する関心を持つきっかけを作っていただくことを目的としています。知的財産に関するゲストとして、発明系ユーチューバーのカズヤシバタ氏、株式会社リブレ(本社名古屋市)代表取締役の堀井邦彦氏が出演予定です。
 カズヤシバタ氏は、日常生活で便利な様々なグッズを発明し、動画で紹介しています。
https://www.youtube.com/channel/UCEJT4uFeT34AGob1v7mhVzg
 堀井邦彦氏は、ペルチェ素子を使った冷却衣服、送風機能/温度制御機能付き衣服、身体温度調整被服等の数多くの新技術を発明しました。
https://rible.jp/company/
 その他、税関のトークショーや日本弁理士会東海会による相談会等もあります。知財の世界を楽しみながら体験してみてはいかがでしょうか。(コナン)

【知財フェス2025のスケジュール概要】
日時:2025年10月4日(土)11時~17時
メイン会場:中部電力MIRAI TOWER下 特設ステージ(黄色バスの前に設営)

中部電力MIRAI TOWER

屋内会場:中部電力MIRAI TOWER 3F イベントスペース (入場無料)

11時~:オープニング、大学サークルパフォーマンス、税関トークショー
13時~:ゲストトークショー
13時30分頃:カズヤシバタ氏 登場
14時15分頃:堀井 邦彦氏 登場
15時~:大学サークルパフォーマンス
(注)スケジュールは変更になる場合がありますので、予めご了承ください。

中部電力MIRAI TOWER

中部電力MIRAI TOWER(旧・名古屋テレビ塔)
https://www.nagoya-tv-tower.co.jp/

おしごと年鑑2025 ~小中学生向けお仕事紹介~

  • 2025年09月10日
#弁理士】 【#特許】 【#知的財産

 先日、朝日学生新聞社より「おしごと年鑑2025」が発行されました。
朝日学生新聞社おしごと年鑑2025

おしごと年鑑2025

 「おしごと年鑑」は、キャリア教育支援プロジェクト「おしごとはくぶつかん」の一環として2016年に創刊された、小中学生向けのキャリア教育用教材です。毎年、日本を代表する企業・団体の協力のもと、社会を支えるさまざまな仕事や人々を紹介しています。
 「お菓子のグミは何からできているの?」、「重たいロケットが宇宙まで飛べるのはなぜ?」、「地球から動物がいなくなるかもしれないって本当?」、「蛍光ペンってどういうペンなの?」といった子供たちの素朴な疑問に企業・団体が答える形式で、楽しみながら世の中の仕事を学べる構成になっています。

・弁理士の仕事も紹介されています
 「おしごと年鑑2025」では、110社を超える企業・団体の仕事とともに、弁理士の仕事についても取り上げられています。
 記事では、現在開催中のEXPO2025大阪・関西万博にちなんで、1970年の大阪万博から55年間にわたる「電話の進歩」を取り上げ、その過程で特許などの知的財産権、そして弁理士が果たしてきた役割を、見開き2ページで紹介しています。
 「復習クイズ」付きのWebページ版もあります。「黒電話からスマートフォンへ どうしてこんなに電話が進歩したの?」(日本弁理士会)

・学校に無償配布、電子ブック版も公開
 「おしごと年鑑2025」は、全国の小中学校約3万校に1冊ずつ無償で配布されるほか、市販版の購入や電子ブック版の閲覧も可能です。

 この本を読んだ子供たちが、将来の進路を考えるきっかけとして、弁理士の仕事にも興味をもってくれたら嬉しく思います。(ヒロ)

特許権の収益化(第2回)

  • 2024年09月12日
#特許】 【#知的財産

 前回の続きです。特許権をマネタイズする代表的な方法の続きです。

5、訴訟および特許侵害の警告

 他社が特許権を侵害している場合、他社に対して警告を行い、他社とライセンス契約を結ぶか、他社に対して訴訟を起こすことで損害賠償を請求することができます。ただし、訴訟は時間と費用がかかるため、戦略的に行う必要があります。

6、特許ポートフォリオの構築と管理

 複数の特許権(意匠権、商標権等を含められる)を組み合わせたポートフォリオを構築し、それを基にライセンス契約を進めることで、収益を最大化できます。また、ポートフォリオ全体を特定の企業に売却することも考えられます。

7、特許プールやコンソーシアムへの参加

 特許プールやコンソーシアムに参加し、他の特許保有者と協力して市場への技術供与を行うことで、ライセンス料を得る方法です。これは特に標準技術に関連する特許権で有効です。

8、投資家やベンチャーキャピタルとの提携

 特許技術を活用したスタートアップを立ち上げ、提携する投資家やベンチャーキャピタルからの資金を得ることで、特許権をマネタイズする方法です。成功すれば特許技術を基にしたビジネスで大きな収益を得る可能性があります。

9、税務戦略の活用

 特許権を活用して、税務上の優遇措置を受けることができる場合があります。たとえば、特許ボックス制度(日本では現時点で未設定)を利用することで、特許権に関連する収益に対して低い税率を適用することができます。

 以上2回に分けて説明しましたが、特許権をマネタイズする方法は、特許権の内容、市場状況、企業の戦略によって異なりますし、また、特許権を取得した国や地域によっても異なります。上記の方法を組み合わせることで、各国で取得した特許権(いわゆる知的財産権)の価値を最大限に引き出すことができます。

 ご質問、ご相談などございましたら、弊所までお尋ねください。
(マルハチ)

特許権の収益化(第1回)

  • 2024年09月10日
#特許】 【#知的財産

 特許権をマネタイズ(収益化)するためには、事業者にとっていくつかの戦略が考えられます。以下に代表的な方法を挙げます。

1、ライセンス供与

 独占ライセンス: 特許権を特定の企業に独占的に供与し、ライセンス料を得る方法です。これにより、企業は他の競合からの優位性を得ることができます。
 非独占ライセンス: 複数の企業に同時にライセンスを供与することで、ライセンス料を広く得る方法です。独占ライセンスに比べてライセンス料は低くなる傾向がありますが、収益の多様化が図れます。

2、クロスライセンス

 他社と特許権を交換することで、双方が持つ技術を相互に利用可能にする戦略です。これにより、ライセンス料の支払いや特許侵害のリスクを軽減し、新たな技術開発を促進することができます。

3、製品化

 特許技術を自社で製品化し、商品やサービスとして市場に提供することで、直接的な収益を得る方法です。これには、製造、販売、マーケティングの能力が必要となります。
 特許権のカバーする製品、サービス、ビジネスモデルなどを自社で市場に提供すること(自社で製品実施、自社による方法使用等)は、特許発明を実施する本来的基本的中核的な方法(特許制度の伝統的な活用方法)です。
 製品化は特許の価値を最大化する可能性があります。

4、特許権の売却

 特許権を一括して売却することで、即座に資金を得る方法です。特許権の将来価値を見積もり、適切な価格で売却することが重要です。売却先は、同業他社、特許ブローカー、または投資家などが考えられます。

 以上、特許権の収益化(活用方法)について、いくつか挙げましたが、この続きは次回に述べたいと思います。
(マルハチ)

爪切りの話

  • 2024年09月06日
#意匠】 【#特許】 【#知的財産

スイマーです。
先日、テレビの新製品開発失敗番組を見ていたら「特許権」「権利侵害」「意匠権」等など知財関係の言葉がたくさん出てきました。そういえば特許は普段から耳にする事はあるけど、それに比べて意匠はあまり聞かないような……と思いました。

他社の知的財産権をどうかわすか、新製品販売の苦労話、紆余曲折の末の自社知財の強化……とても興味深く視聴しました。こういったバラエティ調の番組でも知的財産用語に触れる機会が増えてきたなと感じました。

爪切り

画像は我が家で40年以上活躍する、番組で取り上げられていた会社の製品です。今でもとてもよく切れます。

黄色と白の紙

  • 2024年08月21日
#商標】 【#意匠】 【#特許】 【#知的財産

私は家族と近所にある「くら寿司」によく行きます。
しかし、いつも混んでおり、予約をしていても待つことが多いです。
とある日、いつものように順番を呼ばれるのを店内で待っていた時、たまたま座った待合席の後ろに見覚えのある紙が額縁に入って飾られていました。

特許証と登録証

なんと・・・特許証と登録証がΣ(・ω・ノ)ノ!
つい家族に「見て!特許証と登録証があるよ!」と勢いで言ってしまいました(笑)
何度も通っているくら寿司で初めて気がつき、これほど身近な場所で出会えて少し嬉しかったです。

くら寿司株式会社は特許35件、意匠15件、商標531件あり、知的財産に力を入れているのがわかります。(うさぎ)

開放特許の活用~知財ビジネスマッチング~

  • 2024年03月06日
#知的財産

 「知財ビジネスマッチング」という言葉を聞かれたことはありますか。
 自社の知的財産権は、必ずしも自社がオリジナルで作り出すとは限りません。他社の開放特許を利用して新たな商品を開発するという可能性もあります。使われていない休眠特許を保有している企業のシーズと、自社の商品開発に利用できる特許技術を求めている企業のニーズとを引き合わせて新たな知財ビジネスを創出することが知財ビジネスマッチングです。

ビジネスマッチング

 例えば中部経済産業局のホームページに、知財ビジネスマッチングのガイドブックが掲載されています。

https://www.chubu.meti.go.jp/b36tokkyo/sesaku/chizai_businessmatching/matching_toppage.html

 以前、CBCテレビ(中部地方の放送局)の番組「ゴゴスマッチングTV」でも、知財ビジネスマッチングの事例が紹介されました。

https://hicbc.com/tv/gogosumatchingtv/

ビジネスマッチング

 使われる企業によって、同じ開放特許の基礎技術が全く別の商品に利用される可能性があります。基礎技術と別の技術とを組み合わせて新たな発明が生まれることもあるようです。最近、知財ビジネスマッチングは、知財戦略の一つの形として注目されています。
 ご検討の際には弊所にご相談ください。(コナン)