マスクの部分意匠

  • 2020年10月27日

#意匠

 意匠登録出願において有効な手段の一つに部分意匠が挙げられます。部分意匠制度を利用すると、物品全体のうち意匠登録を受けようとする部分のみの形状、模様、色彩等を権利範囲とすることができます。意匠登録を受けようとする部分以外の部分を「ディスクレーム部分」とも言います。図面には、例えば意匠登録を受けようとする部分を実線で記載し、ディスクレーム部分を破線で記載します。カラー図面を出願する場合、ディスクレーム部分を色分けして特定することもできます。

 例えば意匠登録第1540049号公報(意匠権者:興和株式会社)に開示された「衛生マスク」の部分意匠では、マスク本体のブリーツ(折りひだ)、溶着部、網目シール等の位置、形状、大きさ等が意匠登録を受けようとする部分となっています。一方、破線で示される耳紐の部分はディスクレームされています。(図中の名称は筆者が追記しました。)

 したがって、第三者が登録意匠に対して耳紐の形状を変更したマスクを実施した場合であっても、マスク本体部分の形状が類似していれば侵害となります。なお、この登録意匠に対応するマスクは「三次元マスク」として市販されています。(コナン)