家電・ガジェット好きのヒロです。
6月5日の発売前から大きな話題になっているNintendo Switch 2。公式ストアの抽選販売に軽い気持ちで応募したところ、なんと1回目の抽選で当選してしまいました。発売日に届いたのですが、中1の子供の中間テストが2週間後に控えていたり、テスト後も忙しかったりで、6月25日時点でまだ開封していません(子供はSwitch 2が家にあることをまだ知りません)。ようやく今週末には時間が取れそうなので、子供と遊んでみようと思います。
さて、任天堂が自社の知的財産の保護に力を入れていることはよく知られています。Switch 2にもたくさんの知的財産が利用されているに違いありません。現時点、分かる範囲(公開情報)で調査してみました。
まず特許について調べてみると、Switch 2関連と思われるPCT国際出願が見つかりました。
特許1:PCT/JP2023/028162
国際出願日:2023/8/1、国際公開日:2025/2/6、発明の名称:ゲームコントローラ
特許2:PCT/JP2023/028163
国際出願日:2023/8/1、国際公開日:2025/2/6、発明の名称:ゲーム機およびゲームシステム
前機種(Switch)ではコントローラをディスプレイ本体にスライドさせて着脱する方式でしたが、Switch 2では磁石により着脱する方式に変更(改良)されています(参考)。特許1、2は、この仕組みに関する特許のようです。特許1の日本への移行出願は、2025/6/2(発売日の3日前)に特許登録されています(特許第7690703号)。
なお、特許1、2の国際公開日(2025/2/6)は、Switch 2の正式名称「Nintendo Switch 2」とともにコントローラを含む本体の予告映像が初めて公開された2025/1/16より後です。出願日(2023/8/1)から1年6月後(2025/2/1以降)には特許の内容(図面)が国際公開されるため、それよりも前に予告映像の公開日を設定したものと推測します。
特許1、2の他にも、2023/8/1以降、Switch 2関連のPCT国際出願が25件程出願されているようです。この中には、Switch 2で新たに搭載されたコントローラのマウス機能に関するものも含まれています。
現時点で国内移行が行われているものは少ない(特許1のみ?)ようですが、今後、各出願の移行期限までに、世界各国への移行手続が行われると考えられます。また、おそらく、既に出願されていて、まだ公開されていないSwitch 2関連の特許出願もたくさんあるはずです。
続いて意匠について調べてみると、Switch 2のコントローラの一部(操作用スティック)と思われる意匠登録例が見つかりました。
意匠1:意匠登録1800949
出願日:2024/11/12、登録日:2025/6/5、公報発行日:2025/6/13、意匠に係る物品:操作器用スティックデバイス
意匠2:意匠登録1800950
出願日:2024/11/12、登録日:2025/6/5、公報発行日:2025/6/13、意匠に係る物品:操作器用スティックデバイス
登録日は偶然にもSwitch 2の発売日と同日の2025/6/5で、公報発行日は2025/6/13です。もし、公報発行日が発売日よりも前だったら、コントローラを分解しないと分からない操作用スティックの裏側の形状等が発売前に公開されてしまうことになるため、絶妙な登録日・公報発行日だったと思います。ちなみに、登録査定時にまだ公開したくない場合は、秘密意匠制度を利用することにより公報による公開日を遅らせることができます。
部品としての操作用スティックを意匠登録することで、他社による修理用部品としての操作用スティックの模倣品(粗悪品)が出回るのを防ぐ効果があると思います。
現時点、Switch 2関連の意匠登録例は上の2つのみのようですが、まだまだこれから、たくさんの登録例が公開されると思います。
さらに商標について調べてみると、Switch 2のロゴマークの商標登録例が見つかりました。
商標1:登録6917075
出願日:2025/1/16、公開日:2025/1/24、登録日:2025/4/9
商標2:登録6917076
出願日:2025/1/16、公開日:2025/1/24、登録日:2025/4/9
上記商標は、「Nintendo Switch 2」の予告映像(Switch 2のロゴマーク含む)が初めて公開された2025/1/16と同日に出願されています。これにより、Switch 2の公開前にロゴマークが一般に知られるのを防ぐことができるとともに、他人による先取り出願を防ぐことができます。
また、Global Brand Databaseで調べたところ、上の2つの商標と同様の商標が世界各国で出願されていることがわかりました。
任天堂は、1つの製品(Switch 2)について、多数の知的財産権(特許権、意匠権、商標権)を取得することで、多面的な保護を図っています。
また、特許の場合、出願から1年6月後に出願公開され、意匠の場合、審査を経て登録後に公開され、商標の場合、出願後1週間程度で出願公開されるところ、任天堂は、これらの公開時期を十分に考慮しながら、新製品(Switch 2)の発表時期、発売日等を決定したと考えられます。
新製品を開発されている企業にとって、知的財産の戦略は極めて重要です。特許・意匠・商標をどう組み合わせて保護すべきか、公開・発表や発売のタイミングをどう計るか。実例を参考にしながら、最適な戦略をご提案できますので、ぜひ弊所までお気軽にご相談ください。