アップサイクル

  • 2022年11月16日
#商標】 【#特許

 近年、環境に対する意識が高まる中、「アップサイクル」という言葉がよく使われるようになっています。例えば特開2022-115087号公報に次のように記載されています。

 「アップサイクル」とは、リサイクルの一形態であり、捨てられるはずの廃棄物に対してデザインやアイデアといった新たな付加価値を持たせることで、別の新しい製品にアップグレードして生まれ変わらせることである。前述してきた実施形態は、食品廃材や期限切れ直前食品に対し、・・・食品として人が口にすることのできる醗酵組成物にアップグレードしている、と言うことができる。

 この公開公報の出願人である有限会社ソーイは、静岡県沼津市で発酵食品の開発を行っている会社です。ホームページに、アップサイクルに対する理念が掲載されています。

 https://soijp.com/product/upcycling/

 「ごみという概念をなくし、すべての資源を循環させる技術思考」を意味する商標として、「UP 0 TECH®(アップゼロテック)」(商標登録第6550670号)が、以下の指定商品や指定役務などについて登録されています。

UP 0 TECH

 (例)
 第3類(化粧品)
  アップサイクリング(廃棄物の再生)で製造した化粧品
 第30類(菓子、食品)
  アップサイクリング(廃棄物の再生)で製造したコーヒー
  アップサイクリング(廃棄物の再生)で製造したパン
 第40類(加工処理)
  アップサイクリング(廃棄物の再生)に関する情報の提供及び助言

 ホームページには、「UP 0 TECH®で産み出される技術や手法によってサーキュラーエコノミーの実現を目指していきたい」と書かれています。今後、ますますニーズが高くなる技術であると期待します。(コナン)

イータック®抗菌化スプレーα

  • 2022年10月26日
#商標】 【#特許

 先日BSのニュース番組を観ていたら、「特許成分○○配合!」「特許番号第○○号」とPRするコマーシャルを目にしました。特許事務所勤めの職業病か、気付いたらメモしていました(笑)。「イータック®抗菌化スプレーα」という商品です(エーザイ)。少し調べてみましたので紹介します。

 エーザイのCMですから、当然エーザイ株式会社の特許なのだろうと思ったのですが、「特許4830075」を特許情報プラットフォームJ-PlatPatで調べてみると、エーザイではなく、国立大学法人広島大学とマナック株式会社の共有特許であることがわかりました。

イータック
※写真は「イータック®抗菌化ウェットシート」のもの

 ちなみに登録商標「イータック」「Etak」も、権利者は株式会社CampusMedicoとなっています。同社は広島大学大学院医歯薬学総合研究科の研究成果の事業化を行う大学発ベンチャーとのこと(なお、同社HP「弊社の保有特許」には特許4830075も記載されていますが、J-PlatPatによると現在も広島大学とマナック社が特許権者のようです)。

 この辺りが少々わかりにくいところですが、マナック社のEtak特設サイトでは、「関連製品」のページにエーザイのほか、倉敷紡績株式会社(クラボウ)、ジェクス株式会社が紹介されていますので、この3社にライセンスされているようです。ライセンシー各社のHPだけ閲覧してもこの辺の事情がわかりにくいのですが、今回は特許番号とともにCMで紹介され、また各社HPにも紹介があったため、確認することができました。

 イータック®抗菌化スプレーαは「ドアノブやテーブルなど気になるところにスプレーすることで、持続型抗菌成分によりスプレーした部分のウイルスや細菌の繁殖を防ぎます」とPRされており、コロナ禍の2020年以降いかにも売れそうな商品ですが、さらに調べてみるとなんとコロナ禍前の2018年、「日経優秀製品・サービス賞」の「優秀賞 日経産業新聞賞」を受賞していたことが判明。…皆さんご存じでしたか?

関連リンク
1.イータック抗菌化スプレーαの製品情報|イータック|エーザイ株式会社
2.Etak総合サイト
3.製品情報|マナック株式会社
4.CampusMedico-会社概要(キャンパスメディコ)
5.日経優秀製品・サービス賞2018:TOP

(blink)

電子体温計

  • 2022年10月20日
#商標】 【#実用新案】 【#意匠】 【#特許

長く使用していた電子体温計が壊れてしまったので新しいものを購入しました。
感染予防対策だけではなく高齢の家族が定期的に検温する機会が増えたので内蔵電池が消耗したようです。
下調べする時間もなく近所のドラッグストアの売り場に行くと、複数の電子体温計があり、高機能なのに意外にも安価なことに驚きました。

以前は幼児のボタン電池誤飲防止のため電池交換ができないものが主流だった記憶がありますが、今は電池交換ができるものも売っていました。簡単に取り外しができない工夫がなされたのでしょう。
このご時世にニーズが多いと思われる防水タイプで丸洗いができるものや、付属ケースがアルコール等で清拭しやすい形状のものもありました。

悩んだ末、これまで使っていたテルモの製品で、検温終了音の音圧が約2倍で聞き取りやすいという体温計を購入しました。約20秒で予測検温でき、病院での検温のようにスピーディに計測できます。

テルモの電子体温計 テルモの登録商標

画像にあるテルモのロゴは当然のことながら登録商標ですが(第6191923号防護第01号)、さらにJ-PlatPatで調べてみるとテルモの電子体温計の特許・実用新案・意匠は250件を超えてヒットしました。

ところで、テルモの体温計には100年もの歴史がありました。昨年販売された100周年記念体温計とは!?気になる方は以下サイトをチェックです♪(カカオ)
テルモ100周年記念体温計サイト (terumo.co.jp)

冷却リング

  • 2022年10月05日
#特許

 この夏の初め、娘から「首に巻いて使う冷却リングを買って欲しい」と頼まれ、写真のような商品を購入しました。

冷却リング

 リング状のチューブの中に、28℃以下で凍結する(固体になる)液体が入っています。冷凍庫などに入れておくとすぐ固まり、冷たさが持続します。

冷却リング 冷却リング

 首に巻いて使うものなので全身を冷やすことはできませんが、娘曰く、リングに当たっている部分がひんやりして気持ちいいそうです。

 ところで、同封の説明書には特許番号(特許第6895671号)が記載されていました。

冷却リング

 特許の内容が気になる方は、J-PlatPatで確認してみてください(ヒロ)。
特許6895671:首冷却具

非常食と特許

  • 2022年09月21日
#商標】 【#実用新案】 【#特許

9月1日は防災の日でした。
我が家では、毎年この日に合わせて防災用品の確認をします。
ローリングストックのため、水や非常食、乾電池など賞味期限や使用期限のあるものを特にチェックし、来年の防災の日より前に期限が来るものを入れ替えています。

ローリングストック

防災用品は、巨大地震にだけでなく、台風の多いこの時期は、水害等への備えでもあります。非常食は、長期保存が可能で加熱が不要なだけでなく、非常食のイメージを覆すほど美味しくなっていて、平時の食事にできるだけ近づけるような努力がされているなと感じます。
J-PlatPatで「非常食」等のキーワードで検索すると、多数の特許・実用新案、商標がヒットすることからも努力がうかがえます。

毎年、備蓄品のチェックをする度に、これも足そう、あれも入れておこうと、リュックに入りきらないのが悩みです。(シスぞう)

防災用品

食品ロス削減を支える知財

  • 2022年08月31日
#商標】 【#特許

 日本では年間500万トン以上(2020年度環境省推計で522万トン)の食品が捨てられています。食品ロスが発生する要因として、生産者から消費者への流通の仕組みに一因があると言われています。食品ロス削減に貢献するため、スーパーやコンビニエンスストアで食品を購入する際、賞味期限・消費期限の近い商品から購入することが推奨されています。

食品ロス

 食品ロス削減を目的として、NTTドコモは、2021年10月「ecobuy」アプリを使ったサービスを開始しました。ドコモユーザーは、対象店舗で賞味期限・消費期限が近い商品を購入し、スマホでレシートを撮影してシステムに送信すると、ポイントをもらうことができます。

https://d-card.jp/kakeisoudan/articles/r825y7k5r1p/

https://r-tsushin.com/sdgs/nttdocomo_ecobuy/

 このシステムについて、NTTドコモは「ecobuy」の商標権(商標登録第6082392号)及び「情報処理装置及び情報処理システム」の特許権(特許第6462105号)を取得しています。特許公報には、「ユーザが期限の近い商品を購入すると特典が与えられるのでその種の商品を購入しようという動機を持つことになり、これにより、期限切れにより廃棄される商品、いわゆるフードロスを少なくすることができる。」という発明の効果が記載されています。このように、私たちは知的財産を通じてSDGsの課題に貢献することができます。(コナン)

食品ロス

タクマ式ボイラ

  • 2022年08月10日
#今日の発明】 【#特許

 今日8月10日と関連の深い発明について紹介します。今回紹介するのは、明治生まれの実業家、発明家であり、株式会社タクマの創業者の田熊常吉(1872.2.8~1953.12.22)が発明した「タクマ式ボイラ」です。

 田熊常吉は107年前(1915年(大正4年))の今日、当時の農商務省外局であった特許局に、我が国初の国産ボイラーであるタクマ式ボイラの特許を出願したとされています。なお、1912年に発明し、翌年特許取得、との情報もあります。
 田熊常吉は30代に材木商として成功した後、ボイラー製造事業に出資して失敗、多額の負債を負いました。しかし、その後独力でボイラー開発を行い、タクマ式ボイラの完成に漕ぎ付けます。これにより、外国製ボイラーの輸入に歯止めがかかるほどの成功を収めたとのことです。

 1936年、田熊常吉は自宅に田熊常吉研究所を設立しました(現・株式会社タクマ)。株式会社タクマは現在、毎年10~30件規模の特許出願を行う研究開発企業となっています。

関連リンク
1. 8月10日 – Wikipedia
2. 田熊常吉 – Wikipedia
3. タクマ(企業) – Wikipedia
(blink)

梅雨入りしました

  • 2022年06月29日
#特許

我が服部国際特許事務所のある東海地方も6月半ばに梅雨入りをし、ブログを書いている今も雨が降ってジメジメとした日が続いています。
この時期はいつも折りたたみ傘を持って出掛ける事にしていますが、携帯用の傘を鞄に入れる度に(昔から比べると随分小さく軽くなってこれも進歩だなぁ)と感じます。
「傘 特許」をネットで検索してみると、いろいろな面から工夫された様々な傘が表示され、読んでいるだけでワクワクし手に入れて使ってみたくなります。街に溢れるビニル傘は手軽で便利ですが、機能や材質を工夫して作られた最新の傘も気になる季節です。

さて、いよいよ梅雨本番の季節がやってきた!といっているうちに今年の梅雨は駆け足で去っていったようです。確定すれば1951年の統計開始以来最短の13日間になる見込みです。驚きですね。(スイマー)

ポンポン咲きダリア

  • 2022年06月22日
#商標】 【#意匠】 【#特許

 6月になり、4月に球根を植え付けたダリアの開花が楽しみです。
ダリアの開花の時期は、6月から11月です。このダリアのパッケージには、意匠と2つ以上の商標が用いられているようです。

ポンポン咲きダリア

 球根が入っていた網の袋に貼付されていた写真の台紙は、「物品の台紙」意匠登録第1068135号として意匠登録されていました。
 総合園芸メーカーの株式会社花の大和は、意匠と商標だけでなく特許も保有しているようです。(ラズベリー)

カーボンニュートラルの特許出願

  • 2022年06月15日
#特許

 2020年10月26日、日本の菅首相(当時)は、国会の所信表明演説で「2050年までにカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言しました。この宣言は経団連にも波及しました。では、この宣言に伴ってカーボンニュートラルに関する特許出願が急増したのか検証しようと、2020年10月から1年半が経過した今、公開公報を調べてみました。
 特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)にて、明細書に「カーボンニュートラル」の言葉が含まれる公報の件数を出願年毎に検索したところ、下のような結果が得られました(2022年5月31日現在)。

カーボンニュートラルの特許出願

 既に2001年には、明細書に「カーボンニュートラル」という言葉を記載した出願がされていました。例えば特開2003-129058に、「特にバイオマスはカーボンニュートラルであり、地球温暖化防止京都会議(COP3)での国際公約を達成する意味でも積極的に使用して石油、石炭等を代替すべき資源であるといえる。」と記載されています。1997年12月の京都議定書をきっかけとして、地球温暖化や気候変動に対する関心が高まってきたことを反映しているように思われます。
 その後、「カーボンニュートラル」という言葉を記載した出願件数は増加しますが、2009年(コペンハーゲンでCOP15が開催された年)をピークとして減少し、2015年頃からはほぼ横這い傾向にあります。ちなみに2015年のCOP21では各加盟国の削減目標を定めたパリ協定が採択されました。冒頭に紹介した菅首相の宣言があった2020年10月末から11月前半の段階では、出願の増加傾向は特にみられませんでした。
 将来の地球環境のため、カーボンニュートラル関連の発明が数多く創出されることを願っています。(コナン)