健康診断と「健康経営」~身近になった言葉と商標の話~

  • 2026年06月10日
#商標

先日、年に一度の健康診断を受けてきました。結果はまだ届いていませんが、自身の健康状態を見つめ直すよい機会になることは間違いありません。

健康診断

今年度は協会けんぽでも新たな健診費用の補助が追加されるなど、「健康経営」の普及・推進に力が入れられている印象があります。実際、協会けんぽのおたよりなどでも、この言葉をよく目にします。
また最近では、企業向け保険会社のパンフレットなどでも「健康経営」という言葉を見かけるようになりました。

ところで、「健康経営」はNPO法人健康経営研究会の登録商標(第4922981号)で、2006年1月に登録されたものだそうです。区分は、医療や健康指導などを含む第44類とのこと。意外と以前から存在する言葉だったことを知り、少し驚きました。

一方で調べてみると、「健康経営」を含む商標は他にも複数存在します。例えば、「健康経営プラス」「健康経営アライアンス」「健康経営サポートプラン」などがあり、類似と判定されそうな言葉であるにもかかわらず、いずれも第44類を含む区分で登録されていることが確認できます。
これらが登録されている理由については、あくまで一つの見方ではありますが、「健康経営」という言葉自体が広く使用されるようになり、一定の一般性を有するようになったことで、「健康経営」の部分のみでは識別力が弱いと評価される場面もあるのかもしれません。そのため、商標全体の構成や組み合わせによって、他の商標と区別できるかどうかが判断されているのではないかと考えられます。
商標登録の世界は、本当に奥深いですね。

「この言葉を商標登録したいけれど、登録できるのだろうか」「他人の商標と似ていないだろうか」といった疑問をお持ちの方は、ぜひ弊所までご相談ください。

さて、年に一度の一大イベント(?!)を無事に終え、事務所へ戻る帰り道のこと。真っ青な空がとても印象的だったので、事務所が入居するアレックスビルを背景に1枚パシャリ。気持ちを新たに、仕事へ戻りました♪(カカオ)

アレックスビル

※「健康経営プラス」は東京海上日動火災保険株式会社の登録商標です。
※「健康経営アライアンス」はオムロン株式会社の登録商標です。
※「健康経営サポートプラン」はAIG損害保険株式会社の登録商標です。

エクスプレスチェックアウト ~1秒チェックアウトを支える特許技術~

  • 2026年06月03日
#特許

 こんにちは、ヒロです。先日の東京出張の際、アパホテルに宿泊しました。チェックアウトのため1階へエレベーターで降りたところ、「エクスプレスチェックアウト」と表示されたポストに目が留まりました。案内に沿ってカード回収口へカードキーを入れると、あっという間にチェックアウトが完了しました。追加清算の必要がない場合に限られるものの、ホテルスタッフを介さず短時間で手続が終わる、非常に便利な仕組みです。アパホテルではこれを「1秒チェックアウト」と呼んでいるようです。

APAエクスプレスチェックアウト APAエクスプレスチェックアウト

 案内板の右下には「特許登録済 第7430491号」と表示されていました。日常の中で特許番号の表示を見つけると、つい内容を確認したくなります。
 この特許は「ルームキー回収ボックスおよびこれを用いたチェックアウトシステム」に関するものであり、単なる回収箱ではなく、業務システムと連携した装置として構成されています。

【請求項1】(公報より、原文のまま抜粋)
 宿泊施設におけるルームキーを回収するルームキーの回収口を設けた筐体を備えて、任意の場所に設置して移動可能なルームキー回収ボックスであって、
 前記回収口から差し込まれたルームキーを案内する案内路と、
 前記ルームキーが保持する部屋情報を読み取る部屋情報読取部と、
 当該部屋情報を、宿泊施設のフロント業務装置に出力する部屋情報出力部と、
 前記回収口又はその周囲に設けられた発光部と、
 利用者の接近を感知するセンサーとを備え、
 当該センサーは利用者の接近を感知し、前記発光部を点灯させ、
 前記部屋情報読取部における部屋情報の読み取りが正常に行われた場合、当該読み取りが正常に行われなかった場合、又は前記案内路におけるルームキーの移動により読取音を発する音声出力装置を備え、
 前記筐体は、その上面を正面側に下向きに傾斜させているルームキー回収ボックス。

APAエクスプレスチェックアウト
特許第7430491号の図1(公報より抜粋)

 請求項1の発明を簡単に説明すると、「ルームキーを入れるだけで、チェックアウトに必要な情報取得と連携処理まで自動で行う回収ボックス」です。
 まず、この装置には回収口が設けられており、利用者はカードキーを投入するだけで操作(チェックアウト手続)が完了します。内部では、投入されたキーが案内路を通過し、その途中に設けられた読取部によって部屋情報が取得されます。
 取得された情報はフロント側の業務装置に送信され、チェックアウト処理やその後の業務(例えば宿泊後の部屋の清掃等)に利用されます。すなわち、本装置は単体の機械ではなく、フロントシステムと連携した構成となっています。
 さらに、利用者の使いやすさに配慮した工夫も含まれています。装置にはセンサーが搭載されており、利用者が近づくと回収口の周囲が発光します。これにより、どこにキーを入れればよいか直感的に分かります。また、読み取り状況や動作に応じて音を出す仕組みも備えられており、利用者へのフィードバックも考慮されています。
 加えて、上面が前方に傾斜している点も特徴です。これは見た目上のデザインというより、回収口を認識しやすくし、キーを投入しやすくするための機能的な構成です。
 以上のように請求項1は、「キーの搬送」、「情報の読み取り」、「システムへの送信」、「利用者誘導」といった機能を一体化した点に特徴があります。一見シンプルな装置ですが、利用者の自然な行動をトリガーとして業務処理を自動化する設計が特許として保護されています。サービス現場の工夫でも、技術的構成として表現すれば特許になり得ることを示す好例といえるのではないでしょうか。

参考:特許取得のお知らせ(アパホテル)

テイラー・スウィフトと商標登録 ― AI時代の新たな防衛策

  • 2026年05月27日
#商標

 アメリカの人気歌手、テイラー・スウィフトさんが、米国特許商標庁(USPTO)に対し、自身の「声(HEY, IT’S TAYLOR SWIFT.)」と「ライブ画像」を商標として出願したことが話題となっています。

 昨今のAI技術の進歩は目覚ましく、著名人の声や顔を驚くほど精巧に模倣できるようになりました。インターネット上では、これらを悪用して投資を煽る広告やディープフェイク画像が氾濫しており、深刻な社会問題となっています。

 これまで、著名人の氏名や肖像を保護する権利として、「パブリシティ権」が議論されてきました。これは、個人の氏名や肖像が持つ経済的価値を保護する権利ですが、その適用範囲や判断基準は国や州によって曖昧であり、特に「AIによる生成物」に対してどこまで対抗できるかは、依然として法的な議論が続いています。

 また、「著作権法」でも、特定の楽曲や写真は保護できますが、「本人に似せただけの声(AI生成音声)」などは規制しにくいという限界がありました。

 そこでテイラーさんは、自身の象徴的なフレーズやライブ画像を「商標」として登録する戦略に出ました。 商標法であれば、権利の対象が明確であり、「同一」だけでなく「類似(似ているもの)」まで広く規制の対象となります。あらかじめ商標権として権利を確定させておくことで、AIによる無断利用に対して、より強力かつ直接的な法的手段を確保する狙いがあると考えられます。

 「音の商標」は日本でも2015年から認められています。 今後、日本でも「声を聴けばその人と分かる」ような特徴を持つ著名人が、ブランド防衛の新たな形として、パブリシティ権だけでなく「商標登録」という選択肢を選ぶケースが増えていくかもしれません。(カモミール)

Trademark search (HEY, IT’S TAYLOR SWIFT.)
Trademark search (ライブ画像)

マルちゃん正麺 醤油味

  • 2026年05月20日
#特許

スイマーです。
ときどき無性に食べたくなるインスタントラーメン、近場のスーパーマーケットで安売りをしていたので5食入りパックを買ってきました。

マルちゃん正麺 醤油味

この製品、以前から知っていたのですが今回初めて食べてみました。
乾麺なのに3分で麺がほぐれ茹で上がり、コシもちゃんと感じられてあっという間に完食しました。

マルちゃん正麺 醤油味

袋の裏、調理方法の上には特許番号が書かれています。早速.J-PlatPatで調べるとインスタントラーメンにおける解決すべき問題やその方法が書かれています。
なるほどなるほどと感じ入りながら、次回は別の味を購入してみようと思いました。

マルちゃん正麺 醤油味

乾麺およびその製造方法
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2012-522717/10/ja

ブルーレイの衰退と今後

  • 2026年04月21日
#商標

2026年に入り、ブルーレイドライブ販売終了のアナウンスが各社から相次ぎました。

ブルーレイドライブ販売終了のご案内 | バッファロー
弊社外付けBlu-rayドライブ販売終了のお知らせ | エレコム株式会社 ELECOM
外付けBlu-rayドライブ 販売終了およびサポート対応に関するお知らせ – ロジテックINAソリューションズ株式会社

レコーダーについても、TVS REGZAやソニーが同様の発表をしていますし、パイオニアは光ディスク関連事業からすでに撤退しています。

Blu-ray

Blu-ray Disc規格が発表されたのは2002年のこと。Blu-ray、BLU-RAY DISC、関連ロゴ等は、ブルーレイディスクアソシエーションによって、早いもので2001年に商標登録されています。そして一般向けの製品が登場した2006年は、ブルーレイ元年と呼ばれました。

Blu-ray
※画像はJ-PlatPatより

まだまだ必要とされるシーンはあると感じるブルーレイですが、DVDから完全に世代交代することなく終息に向かうことになったのは、動画配信サービスの普及や、HDD・SSD・クラウドストレージが保存手段の主流となり、容量やコスト面で不利なブルーレイの需要が減少していることが背景にあるようです。
手元に残しておきたい映像作品はブルーレイで購入することもあります。そこには所有する喜びがあったのですが、ほとんど使う機会のないユーザーも少なくないようです。

一方で、アイ・オー・データとVerbatim Japanは、ブルーレイドライブ/ディスクの供給維持に取り組む方針を発表しています。

アイ・オー・データ、Verbatim Japanよりブルーレイドライブ/ディスク商品の提供について(PDF)

ブルーレイがすぐに使えなくなることはありませんが、データの長期保存や、バックアップを手元に置いておく必要がある場合は、保存方法の見直しも必要となるでしょう。(シスぞう)

旅先での出会い

  • 2026年04月15日
#商標】 【#地域団体商標

先日家族で四国旅行へ行きました。
徳島県、香川県、愛媛県、高知県の4県のうち愛媛県の道後温泉が一番のお目当てでした。
夜ごはんは瀬戸内料理をいただけるご飯屋さんで名物料理をいただいたのですが、その中で私が特に気に入ったのが「宇和島じゃこ天」でした。
炙って提供されたじゃこ天は味が濃くお酒が良く進みました。
※「宇和島じゃこ天」(商標登録第5083713号)及び「道後温泉」(商標登録第5071495号、商標登録第5435121号)は地域団体商標に登録されています。

道後温泉

次の旅先ではどのような商標に出会えるか楽しみです♪(うさぎ)

お仏壇のはせがわとノリタケのコラボレーション

  • 2026年04月01日
#商標

 先日、ショッピングモールに入っている「お仏壇のはせがわ」のお店で、香炉とお供え用のカップを購入しました。ノリタケのボーンチャイナで、裏面を見ると、はせがわとノリタケ、2つのロゴが入っていました。

A Collaboration Between Hasegawa Buddhist Altars and Noritake

A Collaboration Between Hasegawa Buddhist Altars and Noritake

 はせがわの文字の横にあるデザイン(第5557659号)、ノリタケのロゴは、いずれも商標登録されています。ノリタケのロゴは、いくつか登録されていますが、一番古いものは、なんと昭和38年の登録でした!(第631574号)

 家には仏壇がないのですが、ノリタケのカップは、インテリアともよくなじみ、小さくても通常サイズのカップと変わらぬ美しさで、気軽にお供えして手を合わせることができるので、とても気に入っています。

 はせがわでは、ライフスタイルの変化に合わせ、ノリタケの仏具の他にも、愛知県刈谷市の「カリモク家具」とコラボしたリビング仏壇や、推しを祀れる「推し壇」など、「手を合わせる機会」を身近なものにする様々な商品を展開しているそうです。「推し壇」は、社員の方の考案だそうで、商標登録されており(第6776045号)、私が見に行った店舗にもありました。(マロン)

 推し檀 https://www.hasegawa.jp/products/2927088980001

桃カステラ

  • 2026年03月26日
#商標】 【#団体商標

先日、旅行で長崎に行きました。
長崎で必ず買いたいと思っていたのが、「桃カステラ」です。

桃カステラ

ふんわりとしたカステラ生地と砂糖菓子で桃が表現されており、たいへんかわいらしいお菓子です。
長崎では、桃の節句をはじめ、さまざまなお祝いの際に贈られるそうです。
お祝い事が多い3月だったからなのか、市内のさまざまなお菓子屋さんで売られているのを目にしました。

例えば、上で表示した桃カステラは「白水堂」さんというお店のもの。
桃かすてら | 白水堂公式オンラインショップ

白水堂桃カステラ


こちらは「万月堂」さんというお店のもの。
万月堂
(長時間持ち歩いて型崩れしてしまったので、パンフレットで失礼します。)

万月堂桃カステラ

同じ桃カステラでも、お店ごとに個性がありますね。
他にもたくさんのお菓子屋さんがそれぞれの桃カステラを販売しているので、いつかすべての桃カステラを食べてみたいなと思っています。

商標「桃カステラ」は、権利者を「長崎県菓子工業組合」とする「団体商標」(※)です(登録番号:第5151942号、指定商品:第30類「桃の外観を模したカステラ,カステラ」、登録日:2008年7月18日)。

桃カステラを銘菓として守り、ますます盛り上げたいという「長崎県菓子工業組合」の気持ちが伝わってきますね。

※「団体商標」について詳しく知りたい方は、下記特許庁ウェブページの「1.団体商標登録制度」の項目を参照してみてください。
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/gaiyo/seidogaiyo/dansho.html

(さくらもち)

疲れしらずのくつした

  • 2026年03月18日
#商標】 【#特許

 普段何気なく目にする特許製品について紹介します。
 今回紹介するのは「疲れしらずのくつした」です。

 疲れしらずのくつしたは、特許庁の広報誌「とっきょ」vol.65でも紹介された、西垣靴下株式会社(奈良県大和高田市)の特許技術を使用した靴下です。カラフルな配色に惹かれ、試しに取り寄せてみました。

疲れしらずのくつした 疲れしらずのくつした

 HPによれば、「特殊なテーピング編みとノンスリップの編み込み滑り止め、足裏のクッション編みで、疲れにくさを実現した高機能ソックス」とのこと。商品パッケージでは、特許技術としてクッション編みしか紹介されていませんが、グリップ編みなども特許技術のようです。

疲れしらずのくつした

 履いてみたところ、土踏まずのクッションがしっかりしています。要は、靴底に敷くタイプのインソールが、靴下側にくっついた感じでしょうか。また、一見してそれとわかる滑り止めが付いているわけではないのに意外なほど滑りにくく、歩きやすくて快適な感じがしました。

 最近は、身近なホームセンターや作業服専門店などでもさまざまな機能性靴下を買うことができます。靴下の編み方ひとつとっても奥が深いものです。世の中を動かす発明や創意工夫の威力を実感し、頼もしく感じます。

 なお、使用商標「疲れしらずのくつした」は、「疲れ知らずの靴下」として商標登録されています。
(blink)