Nintendo Switch 2 ~知財戦略を徹底調査!~

  • 2025年07月02日
#商標】 【#意匠】 【#特許

 家電・ガジェット好きのヒロです。
 6月5日の発売前から大きな話題になっているNintendo Switch 2。公式ストアの抽選販売に軽い気持ちで応募したところ、なんと1回目の抽選で当選してしまいました。発売日に届いたのですが、中1の子供の中間テストが2週間後に控えていたり、テスト後も忙しかったりで、6月25日時点でまだ開封していません(子供はSwitch 2が家にあることをまだ知りません)。ようやく今週末には時間が取れそうなので、子供と遊んでみようと思います。

Nintendo Switch 2

 さて、任天堂が自社の知的財産の保護に力を入れていることはよく知られています。Switch 2にもたくさんの知的財産が利用されているに違いありません。現時点、分かる範囲(公開情報)で調査してみました。

 まず特許について調べてみると、Switch 2関連と思われるPCT国際出願が見つかりました。

特許1:PCT/JP2023/028162
国際出願日:2023/8/1、国際公開日:2025/2/6、発明の名称:ゲームコントローラ

Nintendo Switch 2

特許2:PCT/JP2023/028163
国際出願日:2023/8/1、国際公開日:2025/2/6、発明の名称:ゲーム機およびゲームシステム

Nintendo Switch 2

 前機種(Switch)ではコントローラをディスプレイ本体にスライドさせて着脱する方式でしたが、Switch 2では磁石により着脱する方式に変更(改良)されています(参考)。特許1、2は、この仕組みに関する特許のようです。特許1の日本への移行出願は、2025/6/2(発売日の3日前)に特許登録されています(特許第7690703号)。
 なお、特許1、2の国際公開日(2025/2/6)は、Switch 2の正式名称「Nintendo Switch 2」とともにコントローラを含む本体の予告映像が初めて公開された2025/1/16より後です。出願日(2023/8/1)から1年6月後(2025/2/1以降)には特許の内容(図面)が国際公開されるため、それよりも前に予告映像の公開日を設定したものと推測します。
 特許1、2の他にも、2023/8/1以降、Switch 2関連のPCT国際出願が25件程出願されているようです。この中には、Switch 2で新たに搭載されたコントローラのマウス機能に関するものも含まれています。
 現時点で国内移行が行われているものは少ない(特許1のみ?)ようですが、今後、各出願の移行期限までに、世界各国への移行手続が行われると考えられます。また、おそらく、既に出願されていて、まだ公開されていないSwitch 2関連の特許出願もたくさんあるはずです。

 続いて意匠について調べてみると、Switch 2のコントローラの一部(操作用スティック)と思われる意匠登録例が見つかりました。

意匠1:意匠登録1800949
出願日:2024/11/12、登録日:2025/6/5、公報発行日:2025/6/13、意匠に係る物品:操作器用スティックデバイス

Nintendo Switch 2

意匠2:意匠登録1800950
出願日:2024/11/12、登録日:2025/6/5、公報発行日:2025/6/13、意匠に係る物品:操作器用スティックデバイス

Nintendo Switch 2

 登録日は偶然にもSwitch 2の発売日と同日の2025/6/5で、公報発行日は2025/6/13です。もし、公報発行日が発売日よりも前だったら、コントローラを分解しないと分からない操作用スティックの裏側の形状等が発売前に公開されてしまうことになるため、絶妙な登録日・公報発行日だったと思います。ちなみに、登録査定時にまだ公開したくない場合は、秘密意匠制度を利用することにより公報による公開日を遅らせることができます。
 部品としての操作用スティックを意匠登録することで、他社による修理用部品としての操作用スティックの模倣品(粗悪品)が出回るのを防ぐ効果があると思います。
 現時点、Switch 2関連の意匠登録例は上の2つのみのようですが、まだまだこれから、たくさんの登録例が公開されると思います。

 さらに商標について調べてみると、Switch 2のロゴマークの商標登録例が見つかりました。

商標1:登録6917075
出願日:2025/1/16、公開日:2025/1/24、登録日:2025/4/9

Nintendo Switch 2

商標2:登録6917076
出願日:2025/1/16、公開日:2025/1/24、登録日:2025/4/9

Nintendo Switch 2

 上記商標は、「Nintendo Switch 2」の予告映像(Switch 2のロゴマーク含む)が初めて公開された2025/1/16と同日に出願されています。これにより、Switch 2の公開前にロゴマークが一般に知られるのを防ぐことができるとともに、他人による先取り出願を防ぐことができます。
 また、Global Brand Databaseで調べたところ、上の2つの商標と同様の商標が世界各国で出願されていることがわかりました。

 任天堂は、1つの製品(Switch 2)について、多数の知的財産権(特許権、意匠権、商標権)を取得することで、多面的な保護を図っています。
 また、特許の場合、出願から1年6月後に出願公開され、意匠の場合、審査を経て登録後に公開され、商標の場合、出願後1週間程度で出願公開されるところ、任天堂は、これらの公開時期を十分に考慮しながら、新製品(Switch 2)の発表時期、発売日等を決定したと考えられます。

 新製品を開発されている企業にとって、知的財産の戦略は極めて重要です。特許・意匠・商標をどう組み合わせて保護すべきか、公開・発表や発売のタイミングをどう計るか。実例を参考にしながら、最適な戦略をご提案できますので、ぜひ弊所までお気軽にご相談ください。

宮古島の雪塩さんど♪

  • 2025年06月26日
#商標

 先日、沖縄県の宮古島を訪れました。土産物店で「雪塩さんど、雪塩さんど~♪宮古島の雪塩さんど」という歌が聞こえてきました。沖縄土産として有名な「雪塩」のお菓子では?と手に取ってみると、やはり「雪塩」を製造する「株式会社宮古島の雪塩」が販売する商品でした。青いパッケージに「雪塩さんど」と書かれてあり、シリーズ商品で「雪塩ふぃなん」、「雪塩らすく」、「雪塩ぱりん」もありました。すべて青い箱のパッケージで同じような字体のひらがなで書かれていて、ぱっと目につきやすく、歌が耳から離れないこともあっていくつかお土産に買いました。

雪塩さんど、雪塩ふぃなん、雪塩ぱりん

 箱に商品の中身のイラストも載っているので、見たときに何か分かり、「ひらがな」の商品名にも惹きつけられているのか、外国人旅行客の方がたくさん購入しているのを見かけました。

 シリーズ商品の中で商標登録されているのは、「雪塩さんど」(登録第6827968号)のみのようですが、これら商品の雪塩の後の名前はすべて3音で呼びやすく、見た目が記憶に残りやすく、何の商品であるかも分かり、その歌も相まって良いネーミングと感じました。宮古島を訪れる際に、ぜひお手に取ってみてはいかがでしょうか?(カモミール)

宮古島の雪塩

スイーツ | 商品紹介 | 宮古島の雪塩

耳に残って離れない!『宮古島の雪塩さんど』の歌(YouTube)

『博物マニア』に行ってきました

  • 2025年06月23日
#特許

スイマーです。
愛知県名古屋市吹上ホールで開催された『博物マニア』に行ってきました。テレビ愛知が主催する自然科学がテーマのイベントで、ホールではステージでの楽しい講演や100ほどのブースが机を並べる展示や販売を行っていました。

会場を歩いていると、化石や鉱物、生物のあれこれと、主にハンドメイドの物が並ぶ中に特許番号が掲げられているブースを見つけました。そこには特許を取得した3Dプリンター出力方法で作成したいろいろな動物たちが並んでおり、とても不思議で興味を惹かれるお店でした。
うっかりブログ掲載の許可を得るのを忘れてしまいましたので、特許公報の情報を載せておきます。

立体模型用3次元形状データ作成方法、立体模型の製造方法及び立体模型
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7580688/15/ja

家に帰って早速特許情報を調べるのは職業柄でしようね。

博物マニアHP
地球のお宝大集合!博物マニア| テレビ愛知
【公式】博物マニアSNS
@hakubutsumania

車と航空機産業のまち愛知

  • 2025年06月19日
#商標

愛知県常滑市にある「中部国際空港(愛称:セントレア)」は、2005年2月17日に開港してから今年で20年の節目を迎えました。
20周年特設サイトはこちら https://www.centrair.jp/20th/
セントレアは、国内外への移動の際によく利用する空港の一つですが、SKYTRAX社が実施する顧客サービスに関する国際空港評価のRegional空港部門で、11年連続世界第一位を受賞している空港でもあり、地元の利用者としても誇らしく感じます。

そのセントレアには、「FLIGHT OF DREAMS」という屋内施設が併設されています。ここは、「ボーイング787初号機」の展示を中心とした複合商業施設で、機体を間近に見ながら食事をしたり、コクピットを見学したり、機体に触ることもできるので、セントレアを使う際、時々立ち寄ります。
また、料金はかかりますが、フライトシミュレーターの体験や、ボーイング社のグッズを買うこともできるなど、飛行機好きの人にとっては、子供から大人まで楽しめる場所になっています。

FLIGHT OF DREAMS ボーイング787初号機

セントレアにボーイング787初号機があるのは、セントレア周辺に航空機部品の製造拠点が多く、ボーイング社との関りが大きいことに由来するようです。
そのため、航空機部品を米国に輸送するための飛行機「ドリームリフター」が飛来することもありますので、タイミングが合えば、その巨大な姿を見ることもできます。ドリームリフターは世界に4機しかなく、日本では唯一、セントレアにだけ飛来します。

愛知は「車のまち」というイメージが強いかも知れませんが、「航空機産業の中心地」でもあります。セントレア利用の際は、「FLIGHT OF DREAMS」にも寄ってみてください。(シスぞう)

「FLIGHT OF DREAMS」は中部国際空港株式会社の登録商標です。
商標登録に関するご相談は、こちらから服部国際特許事務所まで是非どうぞ。

旅先で発見した商標 ~ボンタンアメ~

  • 2025年06月13日
#商標

4月の初めに鹿児島県へ行ってきました。
滞在した3日間は毎日天気がよく、桜もまだ咲いており観光日和でした。

旅行に行くと毎回お土産を買うのですが、今回買ったお土産の1つが「ボンタンアメ」です。通常は14粒ほど入った箱なのですが、たまたま4粒入りの小さいものを見つけたのでそちらを購入しました。

ボンタンアメ

サイズがとてもかわいくカバンに入れておくのにちょうど良さそうでした。
ボンタンアメの箱を見ると「登録商標」と書かれていることに気が付きました。

ボンタンアメ

商標登録番号は記されていないのでJ-Plat Patで「ボンタンアメ」や「セイカ食品株式会社」と検索したところ6件ほどヒットしました。
その中に箱のデザインも登録されていました。1983年に出願されている商標で、商標公報(商標公告昭60-019179)は白黒でした。

地元以外の知的財産に出会えて一層楽しい旅になりました♪(うさぎ)

商標公報(商標公告昭60-019179)
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/TR/JP-1983-009399/40/ja
ボンタンアメ
https://www.seikafoods.jp/bontaname/

BRULEE

  • 2025年05月28日
#特許

 クレームブリュレとは、フランス語で「焦がしたクリーム」という意味で、プリンと似たデザートです。一般的なプリンとの違いは、表面に焦がした硬いカラメルが乗っている点です。

オハヨー乳業BRULEE

 オハヨー乳業の「BRULEE」は、本物のクレームブリュレのように表面にパリパリのカラメル層があるアイスクリームです。

オハヨー乳業BRULEE

 特許番号(特許第6732945号)が載っていたので調べてみると、発明の名称は「表面焼成食品およびその製造方法」で、物の発明と方法発明で権利化されていました。概要としては、アイスクリーム(第一の食品)とカラメル層(糖の加熱生成物の層)との間に、チョコレートなどの油脂を含む層(第二の食品)があることで、カラメル層のパリパリ感が維持されるようです。原材料表示を見ると、「チョコレートコーチング」が入っていましたので、これが特許請求の範囲にある「第二の食品」に相当すると考えられます。チョコレートが入っていてもチョコレート味にはならず、あくまでも「ブリュレ」であって、味を邪魔していないところに食品加工の技術力を感じながら、パリパリほろ苦のカラメルを噛みしめました。

 お値段はちょっとお高め(セブンイレブンで400円程度)ですが、これから暑くなる季節、頑張ったときのご褒美デザートに、また食べたいと思います。(マロン)

あつた宮餅

  • 2025年05月22日
#商標

「あつた宮餅」をご存じでしょうか?
毎月1日に愛知県名古屋市の熱田神宮(5、6、11月は秋葉山圓通寺)で開催されている、あつた朔日市(※)で販売され、市の名物となっているお餅が、「あつた宮餅」です。

あつた宮餅

このお餅のすごいところは、なんといっても、熱田の老舗4社(あつた蓬莱軒、きよめ餅総本家、妙香園、亀屋芳広)が共同開発したというところです。

あつた宮餅

見てください、「あつた宮餅」の包装紙に印刷された各社のロゴを。

あつた宮餅

あつた宮餅

「この4社が関わっているのなら、おいしさは保証されている」と思わせてくれる、絶大な信頼感です。
商標に蓄積された、各社の「歴史」と「信頼」をダイレクトに感じました。

中のお餅は、1箱5個入り(甘じょっぱいタレがついています)で、そのうち2個は月替わりとなっています。

あつた宮餅

今回購入したものは4月のもので、4月の月替わりのお餅は「花満開」というものでした。淡い桃色と黄緑が大変かわいらしいです。
他の月の「あつた宮餅」もぜひ食べてみたいです。

「あつた宮餅」は、「もち菓子」を指定商品として2017年3月17日付で「株式会社きよめ餅総本家」が商標登録しています(登録第5933143号)。

※あつた朔日市:https://atsuta-miyashuku.com/wp/tsuitachi/

貴社も大事な商品・サービス名を商標登録しませんか?
商標登録に関するご相談、ご依頼は、こちらからお気軽にどうぞ。
もちろん個人のお客様も大歓迎です。(さくらもち)

「マイナ免許証」とモバイル運転免許証

  • 2025年05月19日
#特許

 2025年3月24日からマイナンバーカードと運転免許証とが一体化された「マイナ免許証」の運用が開始されました。ちょうど免許証更新の時期であったため、私は、通常の免許証とマイナ免許証との両方を申請しました。運転免許試験場では、更新手続、視力検査、写真撮影、更新時講習を済ませると、通常の新免許証が交付されます。その後、マイナ免許証を希望する人は別の部屋へ行き、マイナンバーカードに免許証の電子情報を書き込んでもらいます。さらに当日の夜以降にマイナポータルにアクセスして連携を完了させることが必要です。

愛知県警察運転免許試験場

 ところで、通常の免許証にしてもマイナ免許証にしても、運転者の情報が書き込まれたICカードが発行されるという点では同じです。それに対し世界的には、スマートフォンに情報を書き込んでモバイル運転免許証として運用することが検討されているようです。特許第7003740号「モバイル運転免許証及び携帯端末装置」(特許権者:凸版印刷株式会社)の発明では、端末機認証サーバから携帯端末装置に、公開鍵と免許証情報とを結び付けて作成された公開鍵証明署名が与えられ、携帯端末装置がモバイル運転免許証となります。
 将来、自動車の完全自動運転が実現すれば運転免許証が無くなる時代が来るのかもしれませんが、それまで当分の間は運転免許証に関する技術開発が続くことでしょう。(コナン)

(参考サイト)
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/menkyo/oshirase/individual_number.html

ミャクミャクさん♪~公式キャラの知財と二次創作~

  • 2025年05月15日
#商標】 【#意匠

大阪・関西万博、ついに開幕しました!
開催期間は半年にわたり、暑い夏の時期も含まれますが、しっかりと暑さ対策を講じて、大いに盛り上がってほしいですね。

公式キャラクターのミャクミャクさん♪
赤と青のインパクトに加え、目玉のようなものがたくさんあるという斬新なデザインに最初は少し不気味さを感じましたが、見慣れてきた今ではとてもカワイイと感じます。 ミャクミャクのグッズをデパートや書店などで見かけるようになりました。記念に何か欲しいなと思い調べてみたところ、カプセルフィギュアが発売されているのを発見!ミャクミャクさんのフィギュアです。これ絶対に欲しい!!
4月に再販されたようですが、なかなか見つからず・・・見つけてもすでに売り切れという状況です。

さて、公式キャラクターについて | EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイトでは、二次創作のガイドラインが掲載されています。
かわいいキャラクターほど、つい描いてみたくなるものですが、現代はSNSの時代ということもあり、紙に描いて友達同士で見せ合うよりも、SNSに投稿して共有したり、「推しキャラ」を応援したりする人が多いように感じます。
ただ、二次創作にはグレーな部分もあるため、このようにガイドラインを明確に示してもらえると、安心して創作活動が楽しめますし、作品が盛り上がれば、万博側にとっても大きなメリットとなることでしょう。

J-PlatPatで出願人「公益社団法人2025年日本国際博覧会協会」を検索したところ、意匠5件、商標60件がヒットしました。
ミャクミャクの姿は、アイコン用画像ぬいぐるみおもちゃとして3件の意匠権で保護されています。
また、ミャクミャクに関する商標も複数出願されており、基本的なイラスト(例:第6656708号) や標準文字の「ミャクミャク」「MYAKU-MYAKU」などは、なんと全45区分で登録されていました。商標も万全に保護されています。

ミャクミャクさんを描いて、このブログの挿絵に使おうかなと思ったのですが、ガイドラインによると許諾されているのは個人のSNSやブログへの投稿に限られているようで(あるいは個別に問い合わせが必要なので)、諦めました・・・。
いろいろなミャクミャクさんを眺めながら、万博の成功とカプセルフィギュアの再販を祈願することにします♪(カカオ)

【後日談】
本ブログ原稿を提出した後、ミャクミャクさんのカプセルフィギュアが手に入りました!!リバースカラーVer.です!かわいい・・・
公式ライセンス商品の売上の一部は万博のために活用されるそうです。
ガチャガチャを見つけて回してくれたうさぎさん、本当にありがとう♪

ミャクミャク

ミャクミャク

修正液

  • 2025年05月12日
#今日の発明

 本日(2025年5月12日)と関連の深い発明について紹介します。今回紹介するのは「修正液」です。
 5月12日は、修正液の発案者として知られるベット・ネスミス・グレアム(1924年3月23日-1980年5月12日)の命日です。

 1950年代のアメリカでは、タイプライターが普及していました。しかし、いったんタイプミスをしてしまうと、最初から打ち直さなければならなくなり、大変な手間がかかるため、タイプミスを簡単に修正できる方法が求められていました。

 タイピストであったネスミスは、銀行の窓に画家が絵付けする作業を見ていたときに、タイプ紙と同じ色で塗りつぶすことを思いついたといわれています。テンペラ画用の絵の具を混ぜて水彩ブラシで塗ると、上司がタイプミスに気付かないほどうまく修正できることを発見し、マニキュアボトルに入れて使い始めました。これが職場のタイピスト仲間の間で評判となり、1958年には、起業して「リキッドペーパー」の名で知られる製品の販売を始めました。

 これが端緒となり、修正液は全世界に普及しました。その後、日本でもさかんに改良されるようになり、今では修正テープ型の製品が広く用いられているのは周知の通りです。この辺りの事情がコンパクトにまとめられた記事をみつけましたので紹介します。

修正液

 ネスミスはまた、これまで見過ごされてきた顕著な活躍をした人物を再評価する試みの一環として、後年になってニューヨークタイムズに追悼記事が掲載されるなどしたほか、米国特許商標庁USPTOにも長文の顕彰記事が掲載されています。(blink)