共通テストと知財

  • 2021年07月07日

#知的財産

 知的財産の知識は大学入試に役立つでしょうか。2020年度センター試験の現代社会において、第4問の問5に、現代の情報通信技術に関する概念や法制度に関する記述として最も適当なものを4つの選択肢の中から選ぶ問題がありましたが、③は次のようなものでした。
 「③日本では、知的財産に関する事件を専門的に扱う裁判所は、設置されていない。」
 日本には知的財産高等裁判所(2005年設立)がありますから、この選択肢は誤りです。

 ある高等学校の「情報」の教科書には、「情報システムが支える社会」という章の「情報社会における法律」という節で、産業財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)及び著作権の概要が説明されています。「情報」は、現在では受験科目ではありませんが、今年3月、「情報」が2025年以降の共通テストの教科に加わることが発表されました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210324/k10012933181000.html

 これにより、一般高校生の知的財産権に対する関心が多少は増えるかもしれません。ただし、大学入試センターが発表した「情報」のサンプル問題では、通信の基礎知識、プログラミング、統計処理の問題が選ばれています。知識の暗記よりも考える力が重視される傾向にある共通テストでは、知的財産権の知識問題が出る可能性は基本的に低そうです。しかし、国の政策次第で知的財産に対する世間での関心が高まれば、出題傾向にも影響があるかもしれません。(コナン)