Coleman -THE SUNSHINE OF THE NIGHT-

  • 2024年09月25日
#商標】 【#意匠】 【#特許

 Colemanをご存じでしょうか。キャンプを楽しむ人たちの間では昔から知られているアメリカのアウトドアブランド(会社)です。私が子供のころ家族と行ったキャンプでColemanのガソリン式ランタンを使っていたことを覚えています。そのランタンは暗闇を昼間のように明るく照らしてくれました。それから数十年経ち、自分の子供たちと行くようになったキャンプでも、テーブルや調理コンロ等のColeman製品が活躍しています。写真は調理コンロやガス式ランタンに使用するLPガス缶。赤地に白のColemanロゴが目立ちます。

Colemanコールマンランタンガス

 調べてみると、Colemanは、1900年頃にウィリアム・コフィン・コールマン(William Coffin Coleman)によってオクラホマ州で創業された会社です。当初はガソリン式ランプを専門に扱っていましたが、電灯が普及するようになると、屋外でも使えるガソリン式ランタンを開発し、1914年に「アークランタン」として販売を開始しました。(Wikipedia -コールマン(キャンプ用品)-)。今ではテントを含む様々な種類のColeman製品がキャンプ用品店やホームセンター、オンラインショップ等で販売されています。

 J-PlatPatで商標検索すると、権利者が「ザ コールマン カンパニー インコーポレイテッド」(以下、「Coleman社」)の登録商標が136件ありました。日本で最初(1950年)に登録された登録387738号(画像参照)には、太陽のイラストとColemanのロゴ文字との間に「THE SUNSHINE OF THE NIGHT」(夜の太陽)と書かれています。ランタンのことを意味しているのでしょうか。

Colemanコールマンロゴ

 136件の登録商標の中に、「Coleman」、「コールマン」の文字を含むものは約60件ありました。また、出願人/権利者がColeman社の特許出願は約100件、登録意匠は約110件ありました。多数の知的財産権によりColeman製品・サービスが保護されています(ヒロ)。

特許権の収益化(第2回)

  • 2024年09月12日
#特許】 【#知的財産

 前回の続きです。特許権をマネタイズする代表的な方法の続きです。

5、訴訟および特許侵害の警告

 他社が特許権を侵害している場合、他社に対して警告を行い、他社とライセンス契約を結ぶか、他社に対して訴訟を起こすことで損害賠償を請求することができます。ただし、訴訟は時間と費用がかかるため、戦略的に行う必要があります。

6、特許ポートフォリオの構築と管理

 複数の特許権(意匠権、商標権等を含められる)を組み合わせたポートフォリオを構築し、それを基にライセンス契約を進めることで、収益を最大化できます。また、ポートフォリオ全体を特定の企業に売却することも考えられます。

7、特許プールやコンソーシアムへの参加

 特許プールやコンソーシアムに参加し、他の特許保有者と協力して市場への技術供与を行うことで、ライセンス料を得る方法です。これは特に標準技術に関連する特許権で有効です。

8、投資家やベンチャーキャピタルとの提携

 特許技術を活用したスタートアップを立ち上げ、提携する投資家やベンチャーキャピタルからの資金を得ることで、特許権をマネタイズする方法です。成功すれば特許技術を基にしたビジネスで大きな収益を得る可能性があります。

9、税務戦略の活用

 特許権を活用して、税務上の優遇措置を受けることができる場合があります。たとえば、特許ボックス制度(日本では現時点で未設定)を利用することで、特許権に関連する収益に対して低い税率を適用することができます。

 以上2回に分けて説明しましたが、特許権をマネタイズする方法は、特許権の内容、市場状況、企業の戦略によって異なりますし、また、特許権を取得した国や地域によっても異なります。上記の方法を組み合わせることで、各国で取得した特許権(いわゆる知的財産権)の価値を最大限に引き出すことができます。

 ご質問、ご相談などございましたら、弊所までお尋ねください。
(マルハチ)

特許権の収益化(第1回)

  • 2024年09月10日
#特許】 【#知的財産

 特許権をマネタイズ(収益化)するためには、事業者にとっていくつかの戦略が考えられます。以下に代表的な方法を挙げます。

1、ライセンス供与

 独占ライセンス: 特許権を特定の企業に独占的に供与し、ライセンス料を得る方法です。これにより、企業は他の競合からの優位性を得ることができます。
 非独占ライセンス: 複数の企業に同時にライセンスを供与することで、ライセンス料を広く得る方法です。独占ライセンスに比べてライセンス料は低くなる傾向がありますが、収益の多様化が図れます。

2、クロスライセンス

 他社と特許権を交換することで、双方が持つ技術を相互に利用可能にする戦略です。これにより、ライセンス料の支払いや特許侵害のリスクを軽減し、新たな技術開発を促進することができます。

3、製品化

 特許技術を自社で製品化し、商品やサービスとして市場に提供することで、直接的な収益を得る方法です。これには、製造、販売、マーケティングの能力が必要となります。
 特許権のカバーする製品、サービス、ビジネスモデルなどを自社で市場に提供すること(自社で製品実施、自社による方法使用等)は、特許発明を実施する本来的基本的中核的な方法(特許制度の伝統的な活用方法)です。
 製品化は特許の価値を最大化する可能性があります。

4、特許権の売却

 特許権を一括して売却することで、即座に資金を得る方法です。特許権の将来価値を見積もり、適切な価格で売却することが重要です。売却先は、同業他社、特許ブローカー、または投資家などが考えられます。

 以上、特許権の収益化(活用方法)について、いくつか挙げましたが、この続きは次回に述べたいと思います。
(マルハチ)

爪切りの話

  • 2024年09月06日
#意匠】 【#特許】 【#知的財産

スイマーです。
先日、テレビの新製品開発失敗番組を見ていたら「特許権」「権利侵害」「意匠権」等など知財関係の言葉がたくさん出てきました。そういえば特許は普段から耳にする事はあるけど、それに比べて意匠はあまり聞かないような……と思いました。

他社の知的財産権をどうかわすか、新製品販売の苦労話、紆余曲折の末の自社知財の強化……とても興味深く視聴しました。こういったバラエティ調の番組でも知的財産用語に触れる機会が増えてきたなと感じました。

爪切り

画像は我が家で40年以上活躍する、番組で取り上げられていた会社の製品です。今でもとてもよく切れます。

黄色と白の紙

  • 2024年08月21日
#商標】 【#意匠】 【#特許】 【#知的財産

私は家族と近所にある「くら寿司」によく行きます。
しかし、いつも混んでおり、予約をしていても待つことが多いです。
とある日、いつものように順番を呼ばれるのを店内で待っていた時、たまたま座った待合席の後ろに見覚えのある紙が額縁に入って飾られていました。

特許証と登録証

なんと・・・特許証と登録証がΣ(・ω・ノ)ノ!
つい家族に「見て!特許証と登録証があるよ!」と勢いで言ってしまいました(笑)
何度も通っているくら寿司で初めて気がつき、これほど身近な場所で出会えて少し嬉しかったです。

くら寿司株式会社は特許35件、意匠15件、商標531件あり、知的財産に力を入れているのがわかります。(うさぎ)

尿の検査でがんを早期発見「マイシグナル」

  • 2024年07月31日
#商標】 【#特許

 私たち事務所の所員が受けている定期健康診断で、今年からがんリスク検査「マイシグナル」(商標登録第6548820号)がオプション検査として新たに加わりました。

マイシグナル miSignal

 この検査は、尿に含まれるマイクロRNAを解析して検査するもので、男性では肺がん、胃がん、大腸がん、食道がん、膵臓がんの5種、女性ではさらに卵巣がん、乳がんを加えた7種のがんリスクを早期発見できるというものです。私が初めて受検してみたところ、下の写真のページに続き20ページもの検査結果報告書が送られてきました。

マイシグナル報告書

 検査を運営しているCraif株式会社は、国立大学法人東海国立大学機構(名古屋大学)発ベンチャー企業です。酸化亜鉛ナノワイヤを用いたエクソソーム抽出デバイスを用いることで、少量の尿から多種類のマイクロRNAを検出することが可能になりました。特開2020-92688号公報及び特開2023-123592号公報(分割出願)に開示された「マイクロRNAを含む体液抽出物」の発明がこの技術に関するものと推測されます。

 マイシグナル検査が広く普及し、多くの人ががんリスクを早期発見することにより健康寿命の延伸につながることを期待します。(コナン)

 (参考サイト)
 https://misignal.jp
 https://craif.com

菓子パン

  • 2024年07月11日
#商標】 【#特許】 【#発明

 こんにちは。ラズベリー、キクです。
 今回、ご紹介するのは、山崎製パン株式会社の菓子パンの高級つぶあんと高級ジャムパンです。パンの製造メーカーは、複数ありますが、山崎製パン株式会社に、注目しました。

 高級つぶあんと高級ジャムパンを今回初めて買いました。

山崎製パン株式会社の菓子パンの高級つぶあんと高級ジャムパン

 山崎製パン株式会社は、菓子パンだけでなく、和菓子、おにぎりも作っています。
 菓子パンは、賞味期限が比較的長いので、保存でき、災害時などに、貴重な食品になります。
 山崎製パン株式会社を調べてみると、山崎製パン株式会社の特許出願は、1972年から、商標登録出願は1954年からあるようです。
 1954年といえば、昭和29年(1954年)1月28日に、通商産業省(現在の経済産業省)は、特許制度をはじめとする産業財産権制度の普及・啓発を図ることを目的として、毎年4月18日を「発明の日」とすることを決定した年です。
 知的財産の歴史と将来性を感じました。

山崎製パン株式会社 https://www.yamazakipan.co.jp/product/02/index.html
特許庁 発明の日 https://www.jpo.go.jp/introduction/rekishi/hatsumei.html

♪お、ねだん以上。のマットレス

  • 2024年06月05日
#商標】 【#意匠】 【#特許

 ベッドの買い替えを検討しています。かためや柔らかめといった寝心地や素材など、選ぶポイントが多く迷ってしまいます。先日、ニトリに見に行ったところ、マットレス「Nスリープ ラグジュアリーシリーズ」に「特許登録済」の印がありました。

 J-PlatPatで「株式会社ニトリホールディングス」「マットレス」で検索すると、特許11件(うち特許有効8件)、意匠10件、また、マットレスの商品シリーズ名である「Nスリープ」関連商標が16件ヒットしました。

 お店では靴を脱がずに横になれるようになっていて、いろいろと試してみるのは楽しかったです。私は「寝心地固め」が好みということもわかりました。長く使うものなので、じっくり検討して選びたいと思います。(マロン)

ニトリ Nスリープ マットレス特集
https://www.nitori-net.jp/ec/feature/nsleepmattress/

ぐい呑みと枡(ます)

  • 2024年03月26日
#特許

 弊所(服部国際特許事務所)で取れた特許に係る商品を紹介します。ぐい呑みと枡です。「枡」は日本酒や米の質量の計測に使ったり、清酒を入れる酒器としても楽しめるものです。

ぐい呑みと枡(ます)

 さらに蓋を付ければ、酒器としてのぐい呑みを収納する木箱にもなります。酒飲みには、酒を入れる器に枡を選ぶこともできれば、枡の箱から取り出したぐい飲みを酒器に選ぶこともできます。うれしい限り !(^^)!

ぐい呑みと枡(ます)

 その時の気分に応じて酒器を選ぶ楽しみも生まれるという具合です。ぐい呑みを土産に手渡すには、ぐい呑みを手渡す人や受け取る人の趣向に合わせた形状や絵柄に入れ替えることもできます。
 お酒に関心ある方への贈り物として、気の利いた上品で粋な商品です。こんな多用途多機能のお土産品はいかがですか?

ぐい呑みと枡(ます)
(図は特許公報から引用)

 日本酒ブームの昨今、日本酒PRのアイディアの集積品です。これは、日常の何気ないちょっとした工夫が特許になるという事例です(特許第7190194号)。なお、この商品は種子島焼の応援のために製作しました。(おにぎり)

安全剃刀

  • 2024年01月05日
#今日の発明】 【#特許

 今日(1月5日)と関連の深い発明について紹介します。今回紹介するのは安全剃刀です。1月5日は、アメリカ合衆国の実業家・発明家で安全剃刀の発明者、キング・キャンプ・ジレット (King Camp Gillette)の誕生日です。

 安全剃刀といえば、貝印やフェザーもありますが、すぐに思い浮かぶのはジレットかシックでしょうか。ちなみに私は毎朝シックのエクストリーム3を愛用しています。使い捨て商品ですが、割と長く使えます(笑)

シック エクストリーム3

 ジレットは1855年、ウィスコンシン州で生まれ、イリノイ州シカゴで育ちました。セールスマン時代、雇い主が「使い捨て製品を発売すれば客が安定する」と言ったことをきっかけに使い捨て剃刀の発明を思いつきます。その後替刃式安全剃刀の開発に乗り出し、1901年9月にはジレット社を創業。同じ年の12月に特許出願し、3年の審査期間を経て、特許を取得しました。

特許庁J-PlatPatで検索してみたところ、情報は出てくるものの、残念ながら「指定された公報は存在しません。」となってしまいました。しかし、Google Patentsで検索してみると、公報も入手できました。)

 製造販売を開始した1903年の業績は振るわなかったものの、飲料のオマケとして無料配布したことをきっかけに業績を伸ばし、1918年には米国政府から第一次大戦従軍兵のための剃刀と替刃を受注するなどし、ジレット社は世界最大の剃刀メーカーに成長しました。

 ところで、今日では、ジレット社が切り開いたともいわれる事業戦略Razor and blades model (剃刀と替え刃のビジネスモデル)が知られています。これは、消耗品など補完的な商品の売上を増加させるため、中心となる商品の価格を抑えて販売する (または無料で提供する)というもの。現代でも、インクカートリッジの価格が大幅に上昇したインクジェットプリンタ、専用のカプセルやポッドを購入して使用するコーヒーマシン、電動歯ブラシ…などの事例があります。皆さんも心当たりがあるのでは?私はここに挙げた全部、持っています(笑)

 ともあれ、画期的な発明をしただけで成功するほど甘くはないということでしょうか。それまでになかった新しい市場を創り出した先人達の奮闘ぶりを参考にしたいものです。(blink)