ぐい呑みと枡(ます)

  • 2024年03月26日

#特許

 弊所(服部国際特許事務所)で取れた特許に係る商品を紹介します。ぐい呑みと枡です。「枡」は日本酒や米の質量の計測に使ったり、清酒を入れる酒器としても楽しめるものです。

ぐい呑みと枡(ます)

 さらに蓋を付ければ、酒器としてのぐい呑みを収納する木箱にもなります。酒飲みには、酒を入れる器に枡を選ぶこともできれば、枡の箱から取り出したぐい飲みを酒器に選ぶこともできます。うれしい限り !(^^)!

ぐい呑みと枡(ます)

 その時の気分に応じて酒器を選ぶ楽しみも生まれるという具合です。ぐい呑みを土産に手渡すには、ぐい呑みを手渡す人や受け取る人の趣向に合わせた形状や絵柄に入れ替えることもできます。
 お酒に関心ある方への贈り物として、気の利いた上品で粋な商品です。こんな多用途多機能のお土産品はいかがですか?

ぐい呑みと枡(ます)
(図は特許公報から引用)

 日本酒ブームの昨今、日本酒PRのアイディアの集積品です。これは、日常の何気ないちょっとした工夫が特許になるという事例です(特許第7190194号)。なお、この商品は種子島焼の応援のために製作しました。(おにぎり)

安全剃刀

  • 2024年01月05日

#今日の発明】 【#特許

 今日(1月5日)と関連の深い発明について紹介します。今回紹介するのは安全剃刀です。1月5日は、アメリカ合衆国の実業家・発明家で安全剃刀の発明者、キング・キャンプ・ジレット (King Camp Gillette)の誕生日です。

 安全剃刀といえば、貝印やフェザーもありますが、すぐに思い浮かぶのはジレットかシックでしょうか。ちなみに私は毎朝シックのエクストリーム3を愛用しています。使い捨て商品ですが、割と長く使えます(笑)

シック エクストリーム3

 ジレットは1855年、ウィスコンシン州で生まれ、イリノイ州シカゴで育ちました。セールスマン時代、雇い主が「使い捨て製品を発売すれば客が安定する」と言ったことをきっかけに使い捨て剃刀の発明を思いつきます。その後替刃式安全剃刀の開発に乗り出し、1901年9月にはジレット社を創業。同じ年の12月に特許出願し、3年の審査期間を経て、特許を取得しました。

特許庁J-PlatPatで検索してみたところ、情報は出てくるものの、残念ながら「指定された公報は存在しません。」となってしまいました。しかし、Google Patentsで検索してみると、公報も入手できました。)

 製造販売を開始した1903年の業績は振るわなかったものの、飲料のオマケとして無料配布したことをきっかけに業績を伸ばし、1918年には米国政府から第一次大戦従軍兵のための剃刀と替刃を受注するなどし、ジレット社は世界最大の剃刀メーカーに成長しました。

 ところで、今日では、ジレット社が切り開いたともいわれる事業戦略Razor and blades model (剃刀と替え刃のビジネスモデル)が知られています。これは、消耗品など補完的な商品の売上を増加させるため、中心となる商品の価格を抑えて販売する (または無料で提供する)というもの。現代でも、インクカートリッジの価格が大幅に上昇したインクジェットプリンタ、専用のカプセルやポッドを購入して使用するコーヒーマシン、電動歯ブラシ…などの事例があります。皆さんも心当たりがあるのでは?私はここに挙げた全部、持っています(笑)

 ともあれ、画期的な発明をしただけで成功するほど甘くはないということでしょうか。それまでになかった新しい市場を創り出した先人達の奮闘ぶりを参考にしたいものです。(blink)

AIに関するセミナーと特許出願

  • 2023年12月22日

#特許

 日本弁理士会東海会では、2024年1月26日(金)に名古屋観光ホテルにて東海会開設日記念セミナーを開催します。今回のテーマは、最近注目されているAI(人工知能)です。
https://www.jpaa-tokai.jp/activities/seminar/chizaiDetail_2941.html

AI

 AIに関する発明には次の3タイプがあると言われています。
(1)AIアルゴリズム発明:AI技術のアルゴリズムそのものについての発明
(2)AI利用発明:完成したAIアルゴリズムを利用する発明
(3)AI出力発明:AI学習モデルにより出力された最適なパラメータを特定する発明

 この中でも(2)AI利用発明はあらゆる技術分野で多く出願されています。私も今年(2023年8月)、AI利用発明の特許出願を担当しました。クレームの記載にあたっては、AI関連技術等に関する「特許・実用新案審査ハンドブック」事例集を参考にしました。一般にAI発明のクレームでは、「機械学習」、「教師データ」、「学習済みモデル」等の用語を用いて発明が特定されます。AI技術により、従来技術には無い新しい着眼点で様々な工夫をすることで、AIに関する知的財産権の可能性は今後ますます広がると期待されます。(コナン)

キッズデザイン賞

  • 2023年11月01日

#商標】 【#意匠】 【#特許】 【#発明

先日、ネットサーフィンしていた時、「キッズデザイン賞」という言葉を目にしました。なんとなく「デザイン=意匠に関係していそう」と思い、記事「子供の近視を抑制『アイケアークリップ」キッズデザイン賞」を読んでみました。

キッズデザイン賞は子供たちが「安全に暮らす」「感性や創造性豊かに育つ」「子供を産み育てやすい社会をつくる」という目的を満たすために、製品・サービス・空間・活動・研究の中から優れた作品を選びます。広く社会に発信していくことを目的として、子供用デザインのほか、大人や一般向けに開発されたものでも、子供や子育てに配慮されたデザインであれば対象となるようです。

キッズデザイン賞

記事で紹介されていた「アイケアークリップ」は東京都のクリア電子株式会社が開発した商品です。特許や意匠も取得している会社かなと思いJ-Plat Patで検索した結果、予想通り特許2件、意匠4件、商標18件がありました。

また、「キッズデザイン賞\KIDS DESIGN AWARD」も商標登録されていました。(商標登録第5010693号、権利者:特定非営利活動法人キッズデザイン協議会)

キッズデザイン賞と知的財産が少し似ているように感じ、関心を持ちました。
子供たち、そして子育てをする家族のために役立つ発明で生活が豊かになるといいですよね。(うさぎ)

キッズデザイン賞(ホームページ)https://kidsdesignaward.jp/

ドローンに関する特許

  • 2023年10月04日

#特許

 現在、ドローンは、空撮分野、測量分野、農林水産分野(農薬散布など)、点検分野(高所建造物の劣化点検など)、運搬・物流分野、防犯監視分野などで広く活躍しています。

ドローン

 国土交通省では、自然災害時の被災地における広範囲な情報の把握や初動対応の迅速化に向けて、汎用性の高いドローンの利活用を検討しています。今年4月の「ドローンの特許出願状況の調査分析」によると、2016~2020年のPCT出願(国際出願)の件数は、1位中国、2位米国、3位日本となっています。技術分野別には、機体構造、飛行制御、飛行支援、通信、ドローンポートシステム、用途などに関する出願があります。

 日本国内の出願をみても、2016~2021年に平均500件/年程度のドローン関係の発明が特許出願されています。その中には、火災現場においてドローンから消火用ボールを発射する「ボール発射装置」(第6918384号公報、特許権者 株式会社For Nature)の発明もあります。
 地球温暖化の影響により世界的に増加している山火事や、地震等の被災地で発生する火災に対しても、ドローンを利用した消火システムが有効に利活用されることを望みます。(コナン)

 <参考文献>
国土交通省 「行政ニーズに対応した汎用性の高いドローンの利活用等に係る技術検討会」
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/gijyutu/sosei_safety_tk2_000041.html

国土交通省 「ドローンの特許出願状況の調査分析(令和5年4月)」(PDF)
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/gijyutu/content/001603643.pdf

特許多腕人間方式 -海野 十三-

  • 2023年09月13日

#弁理士】 【#特許】 【#著作権

 弁理士が主人公の小説を紹介します。タイトルは「特許多腕人間方式」、昭和初期の作家「海野 十三(うんの じゅうざ)」による小説です。

 海野 十三(本名:佐野 昌一)は、ミステリー小説やSF小説を数多く発表し、「日本SF小説の父」と呼ばれています。海野氏は、作家デビュー後の昭和11年(1936年)、39歳のときに弁理士の資格を取得し、その2年後に「佐野電気特許事務所」を開設しています。

 「特許多腕人間方式」は、海野氏が44歳のとき、昭和16年(1941年)に発表された作品です。特許事務所を経営する弁理士のもとに1人の発明家が訪れ、「3本目の腕」に関する特許出願の依頼をするところから話が始まります。弁理士が、出願手数料および出願印紙料として発明家から受け取った百円紙幣(当時は大金)と対話(一人二役)しながら出願用の明細書を書き進めるという、ユーモラスかつシュールな場面が出てきます。特許請求の範囲の記載の中で「少なくとも」という表現を使い、特許範囲(権利範囲)を拡大したとして弁理士の腕前を披露する場面や、出願後に拒絶理由通知書が届き、審査官と面会し、拒絶理由の解消に奮闘する場面もあります。現在の弁理士実務にも通じるものを感じます。

特許多腕人間方式

 全体的にユーモアが散りばめられており、オチもなかなか。短編小説のため、あっという間に読み終えました。
 この作品は、海野氏の死後50年以上経過しており、著作権の保護期間が満了しているため、青空文庫などで自由に読むことができます(ヒロ)。

「特許多腕人間方式」青空文庫

AR・MRによるシミュレーション技術

  • 2023年07月19日

#商標】 【#特許

 ヘッドマウントディスプレイを装着して周りを見ると、現実の空間上に仮想空間の物体が重なって見えます。これがAR(拡張現実)です。また、仮想空間の物体を自由に動かせるようにする技術がMR(複合現実)です。近年、ARやMRは、医療分野その他の各産業分野での作業支援や教習訓練に広く利用されています。VR(仮想現実)、AR、MRを合わせてXR(クロスリアリティ)とも呼ばれています。

 推進工法やシールド工法による地下トンネル工事を行うサン・シールド株式会社では、地下トンネル工事の作業計画や工事に用いられる掘進機の製造、保守などの工程において、AR、MRによるシミュレーション技術を積極的に活用しています。実際の活用例は、YouTubeのSunshieldチャンネル(下記リンク)にも紹介されています。

 知的財産の面からもサン・シールド株式会社は、「作業支援システム」(特許第6969807号公報)の特許権や「SUNーSHIELD MRシミュレータ」(商標登録第6379062号)などの商標権を取得しています。

SunShield_MRシミュレーター

 都市整備事業における地下開発の役割は今後ますます重要になってくると思われます。それを支える作業においてXRの最新技術がより有効に利用されることに期待します。(コナン)

サン・シールド株式会社ホームページ
https://www.sunshield.co.jp/

YouTube Sunshieldチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCvS6w4NRWGAZ7aOcw34CXmA

「知財」のお仕事

  • 2023年04月26日

#商標】 【#実用新案】 【#意匠】 【#特許】 【#知的財産

始まりました!ドラマ「それってパクリじゃないですか?」
原作の小説を読んでより一層ドラマが楽しみになっています。この原稿は第一話の放送後に書いていますが、ドラマ用に再構築されていて初回から原作と異なる部分がたくさんあり今後の展開がとても楽しみです。「特許は言葉を武器とした陣取り合戦」、「知財の仕事は誰かの作り出した汗と涙の結晶を守ること」という台詞が印象的でした。

ドラマ第一話ではまだ主人公の働く会社に知的財産部(知財部)がありません。第二話以降で新設される知財部の活躍がどのように描かれるのでしょうか?弁理士による監修ということでリアリティのある内容に仕上がっていると思うので、楽しみながら身になる知識が得られそうです。

原作には、~新米知的財産部員のお仕事~という副題が付いています。
知財部がなく開発部や総務部で兼任されている企業の方にとっても、「知財」のお仕事を理解する手助けになるのではと思います。弊所でも知財部の役割をより理解し、お客さまに必要とされるサービスを提供するために活用していきたいと思います。

それってパクリじゃないですか? それってパクリじゃないですか?

ところで、特許庁もこのドラマに注目してツイートしています。
撮影協力も行ったようで、特許庁の普段見られない場所が見られるそうです。こちらも注目ですね♪(カカオ)

原作|それってパクリじゃないですか?|日本テレビ
連続ドラマ化決定の話題作『それってパクリじゃないですか?』は「知財」のお仕事がよく分かる、極上のエンターテインメント小説 | 集英社オンライン
ちょっと一言 | CoffeeBreak | 日本知的財産協会
「明日スタートの日テレ系新水曜ドラマ「#それってパクリじゃないですか?」 皆さんの身近にある #知的財産 がテーマ! #知財 といえば #特許庁 !我々も応援します📣 実は・・・本作で撮影協力を行いました🎥 普段見られない場所もあるので、何話で特許庁が舞台になるかぜひご注目ください! #それパク」 / 特許庁Twitter

大切なペットの命を守る~日本動物高度医療センター

  • 2023年02月01日

#商標】 【#特許

 2ヶ月程前、私の家の犬(オス11才)の体調が悪そうだったので受診したところ、かかりつけの獣医から精密検査のために日本動物高度医療センターを紹介されました。

動物病院

 日本動物高度医療センターでは、専門診療分野の獣医師が専門の医療機器を用いて、疾患動物にとって最適な検査・診断・治療を提供します。
   https://www.jarmec.co.jp/

 日本動物高度医療センター(Japan Animal Referral Medical Center)の略称である「JARMEC/ジャーメック」、及び、日本動物高度医療センターのマークは、「動物の治療」を指定役務として商標登録(第5075207号、第5922959号)されています。また日本動物高度医療センターは、「イヌのがん細胞に対する増殖抑制剤」の発明について特許(第6840886号公報)を取得しています。

JARMEC商標

 精密検査の結果、幸い私の家の犬には腫瘍等の異常は認められず、ひとまず経過観察と診断されました。薬の投与で指標数値も改善され、現在は元気に暮らしています。(コナン)

診察

 (注)イラストはイメージであり、日本動物高度医療センターとは関係ありません。

エレキソルト

  • 2023年01月25日

#商標】 【#特許

 「エレキソルト」は、減塩食品の塩味を約1.5倍に増強させるスプーン型、お椀型のデバイスで、明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科の宮下芳明先生の研究室とキリンホールディングス株式会社による共同研究で開発されたものです。現在は、実証実験中、2023年の発売を目指しているそうです。

 エレキソルトは、独自の電流波形の電気味覚技術を搭載し、スプーンやお椀に微弱な電流が流れることで効果を発揮するものです。年末年始にテレビを見ていたところ、いくつかの番組で取り上げられていて、注目しています。

 特許がありそうだな、と思い調べてみたところ、出願人が学校法人明治大学、宮下芳明先生が発明者になっている電気味覚関連の出願が2件ありました。(特開2021-045399、特開2019-212799)
 また、「エレキソルト」の商標が、キリンホールディングス株式会社から出願されており、現在審査中のようです。(商願2022-088846)

 塩分摂取過多と言われる日本人。最初は医療、介護分野からの導入になりそうですが、手頃な価格で買えるようになったら、ぜひ試してみたいと思います。(マロン)

参考記事:明治大学 2022年度プレスリリース