特許多腕人間方式 -海野 十三-

  • 2023年09月13日

#弁理士】 【#特許】 【#著作権

 弁理士が主人公の小説を紹介します。タイトルは「特許多腕人間方式」、昭和初期の作家「海野 十三(うんの じゅうざ)」による小説です。

 海野 十三(本名:佐野 昌一)は、ミステリー小説やSF小説を数多く発表し、「日本SF小説の父」と呼ばれています。海野氏は、作家デビュー後の昭和11年(1936年)、39歳のときに弁理士の資格を取得し、その2年後に「佐野電気特許事務所」を開設しています。

 「特許多腕人間方式」は、海野氏が44歳のとき、昭和16年(1941年)に発表された作品です。特許事務所を経営する弁理士のもとに1人の発明家が訪れ、「3本目の腕」に関する特許出願の依頼をするところから話が始まります。弁理士が、出願手数料および出願印紙料として発明家から受け取った百円紙幣(当時は大金)と対話(一人二役)しながら出願用の明細書を書き進めるという、ユーモラスかつシュールな場面が出てきます。特許請求の範囲の記載の中で「少なくとも」という表現を使い、特許範囲(権利範囲)を拡大したとして弁理士の腕前を披露する場面や、出願後に拒絶理由通知書が届き、審査官と面会し、拒絶理由の解消に奮闘する場面もあります。現在の弁理士実務にも通じるものを感じます。

特許多腕人間方式

 全体的にユーモアが散りばめられており、オチもなかなか。短編小説のため、あっという間に読み終えました。
 この作品は、海野氏の死後50年以上経過しており、著作権の保護期間が満了しているため、青空文庫などで自由に読むことができます(ヒロ)。

「特許多腕人間方式」青空文庫

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